企業が特許とどう向き合うべきかを解説した書。アップルとサムスン電子の特許訴訟をはじめ、世の中で話題となった事例を取り上げながら、特許の重要性を分かりやすく説く。「特許は担保になる」「あえて出願しない戦略もある」「特許権侵害で訴えられた場合はどうすべきか」「新興国では模倣品対策として出願が重要」など経営層向けの内容になっている。

 本書では多くの事例が登場するが、個々を深く分析するものではなく、背景にある企業の戦略と筆者の見解を説明するための紹介にとどまっている。例えばアップルとサムスン電子の例では「他社がある程度の真似をすることを、アップルがあえて許したのではないか」といった具合だ。

 このほか、良い出願書類の条件や良い弁理士の見分け方などにも言及し、特許出願を検討する人にも向く。ただ著者が弁理士のため、逆に宣伝色が強い印象も受けた。

ニュースに学ぶ特許戦略

ニュースに学ぶ特許戦略
白井 和之 著
幻冬舎発行
777円(税込)