「ビッグデータ」とは何か。

 「ITによりヒトや様々なモノ・場所から大量の情報を収集して分析することで、市場予測の精度を飛躍的に高めたり、これまで隠れてきた新たな関係性を発見したりする。その成果を基に革新的なビジネスモデルを生み出し、競合を一気に圧倒して市場を席巻する」。本特集ではその本質をこう定義する。

 EC(電子商取引)世界最大手の米アマゾン・ドット・コムやネット検索の米グーグルなどの成功は、大量のデータを保有すること自体が市場競争の圧倒的な武器になることを証明した。

 アマゾンは商品の閲覧履歴や購入履歴などのデータから、ユーザーが興味を持ちそうな商品を割り出してレコメンド(推薦)する技術を確立。これによりユーザーの購買意欲を刺激し販売量を増加させてきた。グーグルはユーザーが検索エンジンに入力したキーワードなどのデータを分析して検索の精度を高め、検索結果に連動した広告を表示させて売り上げを拡大している。

 こうした企業に続けとばかりに日本でも、大量のデータを元手に新たなビジネスを生み出そうという企業が増えている。代表格は「じゃらんnet」など様々なウェブサイトを運営するリクルートや、国内EC最大手の楽天だ。ユーザーのウェブサイト上の行動履歴を大量に集めて分析し、商品やサービスをユーザーに対して適切にレコメンドする仕組みを構築している。

 国内ソーシャルゲーム大手のグリーやディー・エヌ・エーもビッグデータ活用の旗手である。ゲーム利用状況を基に、「いつ、どんなイベントを発生させればゲーム内アイテムの販売を増やせるか」といった分析を繰り返し、最大の成果を上げるようゲームシステムを改修し続けている。