Fedoraの新バージョンである「Fedora 18(Spherical Cow)」 が 当初の予定より2カ月遅れ、2013年1月8日にリリースされた。新版では、インストーラーやデスクトップ環境、サーバー機能などが強化された。早速、新機能を試してみた。

表1●Fedora 18の主な強化点
表1●Fedora 18の主な強化点
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写真1●インストーラー「Anaconda」が改良
写真1●インストーラー「Anaconda」が改良

 Fedoraは、米Red Hat社の支援を受けて開発しているLinuxディストリビューションだ。半年に1回のメジャーバージョンアップを実施している。先進的な技術の取り込みが特徴である。

 Fedora 18の主な強化点を表1に示す。最も目を引くのはインストーラー「Anaconda」を一新したことだ(写真1)。Fedoraインストール時の必須の設定項目は、言語選択、パーティション設定、rootのパスワード設定の3点で、楽に進める。従来のAnacondaでも使いにくくはないが、ユーザーに選択させる項目を極力少なくし、初心者にも分かりやすくインストールできるように工夫している。

 デスクトップユーザーには、インストーラーでデスクトップ環境に「MATE」と「Cinnamon」を選択可能になった点がうれしい。ただしベータ版で試した時点ではMATEを選択するとウィンドウマネージャーの「openbox」が起動した。Cinnamonに至っては 真っ黒い画面が表示されただけだった。

 デスクトップ環境には、子供向けの学習プラットフォームである「Sugar」のライブ版も追加された(写真2)。子供が楽しめそうなアプリケーションがAdd-ons for Sugarに公開されており、Firefoxのアドオンのような感覚で追加できる。

写真2●子供向けの学習プラットフォームであるSugar

 日本語化されているアプリケーションは現状、少ない。ただ、Fedoraで採用されて日本でも広まっていく可能性が出てきた。Sugarは子供向けだが、カスタマイズすれば業務用端末にも使えそうなので動向に注目したい。

 サーバーのユーザー向けには、Windows Serverの認証サービス「Active Directory」の機能を実現する「Samba 4.0」、サーバー仮想化管理ツールの「oVirt engine」、最近話題のNoSQLデータベース「Riak」が装備された点が要注目だろう。

写真3●GUIの設定ツール「firewall-config」

 ファイアウォールのサービス 「iptables」が「FirewallD(firewalld.service)」に変更された。FirewallDはファイアウォールを動作させながら iptablesのポリシールールを変更できるようにするデーモン。これまで、iptablesの設定のあと、再起動時にファイアウォールが一時的に停止状態になっていた。FirewallDではGUIの設定ツール「firewall-config」もあり、再設定の際にもパラメーターを覚えておかなくてよいため、楽になった(写真3)。