先進ユーザーの事例や識者の取材を通じて、新たな選択肢を踏まえたレガシーマイグレーションを考える際のポイントが四つ浮かび上がる(図1)。

図1●レガシーマイグレーションに関する四つの注意点
図1●レガシーマイグレーションに関する四つの注意点
プロジェクトを失敗しないため、検討時点で注意しておくべき点を挙げる

今後のビジネス戦略を踏まえる

 一つめは、目的を明確化する。長崎県は運用コストの大幅な削減を重視し、OSSを全面採用した。丹青社は他システムとの連携を重視し、Javaへの変換を選んだ。

 二つめは、段階的な移行を検討する。車両情報システムはクラウドに移行する前にオープン系へのマイグレーションを実行。クラウドへの移行をスムーズに進めた。

 三つめは、「レガマイをしない」選択肢もあると認識する。長崎県や車両情報システムなどは「効果が見込める」と判断してマイグレーションを実行した。だが、場合によっては「ホストを残す」あるいは「新型メインフレームに集約する」という判断もあり得る。

 四つめは、中長期のビジネス戦略を踏まえる。新たな施策を次々と打ち出す予定か、サービスの安定提供を重視するかなど、今後の事業方針によってレガシーマイグレーションに関する判断は変わってくる。マイグレーションの効果を高める新たな選択肢を利用して、今後のビジネスに資するレガマイ戦略を考える時期に来ているといえよう。