ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 日本企業のグローバル化は2013年に一層加速するのは間違いない。当面は中国と、シンガポールやタイ、ベトナムといったASEAN(東南アジア諸国連合)諸国が主な対象地域になるであろう。

 チャイナプラスワンと言われるなか、加工貿易拠点としての中国の魅力は若干薄れつつある。それでも市場規模が大きいだけに、消費地(販売拠点)としての魅力は依然として大きい。一方、ASEAN諸国は生産拠点のみならず、消費地としての魅力は今後ますます高まってくる。2015年をメドにAEC(ASEAN経済共同体)を設立するという方向性のもとで結束を固め、地域全体のさらなる浮上を目指している。

 日本企業がこれらの地域での事業展開を強化する際には、連結経営管理の視点から、現地拠点における情報システムの見直しをはじめとする管理体制の整備が、今まで以上に喫緊の課題となる。

 筆者は2012年末から2013年初頭にかけて、中国を数回訪問した。その際に、現地における会計や経営管理に関するシステム化に関するヒアリングを実施した。また、同時期にセミナーなどを利用して、ASEANに関する情報収集に努めた。

 中国訪問は、IFRS(国際会計基準)に関する状況の調査を目的としたものではなかったが、IFRSに関する現地の感触も確認してみた。訪問した都市は深センと上海で、中国の業務パッケージベンダー、日本現地法人を顧客としている地元会計事務所、ある日本企業の現地法人などを回った。

 今回はこれまでの連載と少し趣を変えて、中国への訪問とASEANに関する情報をもとに、IFRSを絡めて現地法人による管理体制の整備について感じることを述べていきたい。