トヨタ生産方式といえば、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」や「かんばん」を思い浮かべる。必要なものを、必要な時に、必要なだけ届けるJITには、2つの実現方法がある。

 1つは、あらかじめ必要なものを用意しておく方法。これは「後補充」といい、使った分を次に使う時までに買ったり、作ったりしておいて補充する。

 後補充では、まず製品や部品にかんばんと呼ばれるカードを付ける。製品や部品が売れたり、使われたりすると、かんばんを外して前工程に渡す。前工程はかんばんを受け取ると、製品や部品を作る。かんばんが計画を示したり、指示になったりする。

 もう1つは、必要なタイミングで必要なものを入手する方法である。これは「順序引き取り」といい、タイミングを合わせて必要な順番で買ったり、作ったりする。

 順序引き取りには、かんばんがない。組み立てであれば、組み立て計画に同期するように、前工程の組み立てや加工の順序計画を立てて、指示する。

 つまり、後補充(かんばん)では使ってから、買ったり作ったりする。一方で順序引き取りは、計画に合わせてタイミングよく調達しておく。それが両者の最大の違いだ。