品質不良は市場の厳しい評価を受ける。だが決して隠さず、情報をオープンにして顧客に素早く対処することがポイントである。

 もっとも、本来は品質不良は出さないに限る。そのためにはどうしたらよいか。

 ものづくり企業であれば、製品ができ上がり、工場から市場に出荷される前に、出口でチェックする。検査担当者が一品一品または複数の製品から数点抜き取りで検査する。なかには人手ではなく、検査設備で効率的にするところもある。

 だが人手にしろ、検査設備にしろ、コストがかかってしまう。品質さえよければ、コストは多少かかっても仕方がないとはいえない。海外企業と競争している会社は、海外の安い人件費の前では、とても勝ち目はない。

 日本は検査設備を導入することで検査コストを多少削減できるかもしれないが、それでも海外工場では検査設備より人手の方が安い。海外企業に対抗するうえで、品質不良に対してどう取り組むかは重要な課題だ。

製造ラインの上流で品質管理

 そこで出てくるのが「製造工程で品質を作り込む」ということ。適当に作って出口でチェックするのではなく、一つひとつの工程で品質不良を起こさないように上流で品質を作ってしまう。後編ではFlex茨城における品質向上の取り組みを紹介する。

 サーバーやストレージ製品は企業システムの中核を成し、品質不良は企業に多大な影響を与える。そのため国内の製造委託元から、Flex茨城は高い品質を求められている。

 昔のFlex茨城は品質については「最終的に出口で不良を出さなければいい」という考えで、組み立て後の検査を徹底してきた。前回紹介した1990年代後半からのカイゼンの結果、リードタイム短縮(1カ月→2.5日)、在庫削減(70%)を成し遂げた。それに加えて、大幅な品質向上も果たした。