「品質がいいのは当たり前。価格はどこのメーカーでも同じ」

 こんな取引条件で、他社に差を付けるのがリードタイムだ。顧客からすれば、欲しい商品がいかに早く手に入るかが決め手になる。

 そのためには、あらかじめ製品在庫を多く持って顧客の注文に備えるやり方が挙げられる。しかし、製品をそろえておくと在庫を抱えるリスクを伴う。経営効率を高め、顧客の注文から納品までのリードタイムを短縮するため、「多少の製品在庫を持つことは仕方ない」とは言えない時代になっている。

BTO生産が在庫削減の決め手

 そこで各社が導入したいのはBTO生産。BTOはBuild To Orderの頭文字を取ったもので、注文を受けてから作る。

 しかし、注文を受けてから材料や部品を手配し、製造していては顧客が要求する納期には間に合わない。あらかじめ部品を買い、組み立て途中のユニットの段階までは組み立てておき、在庫にする。そして注文を受けたら、顧客の仕様に合わせて完成させるというやり方だ。

 これで製品の在庫は持たずに済む。顧客のニーズに合わせた多品種といっても、標準化した部品やユニットの組み合わせで製品が構成されているので、部品やユニットは製品の種類ほど在庫を持たなくていい。BTO生産の実現には次の3つがポイントになる。

  • 注文情報を素早く工場へ伝える
  • 素早く製品を組み立てる。また部品を調達する
  • 部品やユニットの在庫を少なく抑える

 このためには生産現場のカイゼンだけ、またはシステムの見直しだけではうまくいかない。両者の連携が必要になる。

 ここで、BTO生産を導入したフレクストロニクス・インターナショナル茨城ソリューションズ・カンパニー(以下、Flex茨城)を紹介する。