今回も、海外で行われた調査結果をテーマにしてみよう。

 筆者が見る限り、今のところ日本ではほとんど話題にはなっていないようだが、アメリカの、特にデジタルマーケティングの担当者たちの間で、最近話題になっている調査結果が先日テクノラティメディアから発表されている。「2013 Digital Influence Report」というもので、アメリカの150のトップブランドのマーケター、1200人の消費者、そして6000人の、いわゆる「インフルエンサー」と呼ばれる人たちを対象に調査を行った結果をまとめたレポートだ。

 このレポートは大きく3つのテーマで構成されている。これを一通り読み込むと、アメリカにおける「ブランド(企業)のデジタル施策における予算感と効果測定の考え方」、「消費者の(購買)行動に対するソーシャルメディアやインフルエンサーによる影響」、「インフルエンサーとブランドの関係や影響度」といった状況が(米国の事情ではあるものの)ある程度把握できるような内容になっている。

米国でもソーシャル関連の予算は全体のごくわずか

 今回は、そのレポートの中から、150のトップブランドのマーケターの回答をまとめたデータを少し紹介しよう。

 まず気になるのが、デジタル施策に対する予算規模だろう。こちらは100万~1000万ドルと答えた企業が最も多く、30%の企業が該当している。続いて1000万~2500万ドルという回答が22%となっており、この両者で全体の半分強を占めている状況だ。

 なお、ここで言う「予算」とは、オンライン広告費など、デジタル施策に対して発生するものすべてを含めた数字である。大量に広告を出稿しているブランドであれば、この数字は当然大きくなってくる。

 そのため、年間1億ドル以上と高額の予算と回答したブランドも10%ほどある。広告費などもすべて含めて年間90億円以上をデジタル施策に対して計上する企業となると、日本国内では非常に限られた企業となるかもしれない。もちろん広告料金の相場や他の広告媒体との比率など、様々な条件を考慮しなくてはならないが、それでも全体としてかなりの規模の予算をデジタル施策に対して計上していることがわかる。

 ちなみに、この「予算」の内訳をのぞいてみると、ほとんどが広告費で占められている。今回の調査では比較的細かな内訳まで紹介されているが、予算の約60%がディスプレイ広告とリスティング広告に対して計上されている状況だ。その一方、ソーシャルメディアに対して割り当てられている予算は、全体の10%ほどで、うち半分以上がFacebookに対して割り当てられている。つまりFacebookの内訳はデジタル関連予算の約5%になる計算だ。

 ちなみに、今回の調査で対象となったブランドの90%以上が、自分たちのFacebookページを運営している。以下、Twitterアカウント(85%)、YouTubeチャネル(73%)と続いている。それ以外のソーシャルメディアについては、実はそれほど積極的に使われているとは言い難い状況だ。たとえばEコマースとの親和性が高いと語られることの多いPinterestでも41%に過ぎず、Google+になると26%と、FacebookやTwitter、YouTubeと比して、その数字は極端に低くなる。

 今後に関して言えば、モバイル方面、そしてソーシャルメディア、さらに動画に関連する予算を増額させていくことを考えている一方で、ディスプレイ広告やリスティング広告などに関しては、現状維持と回答している人が最も多い。一部ディスプレイ広告については、これまでよりも予算を削減することを検討しているブランドも少なからず見られるようだ。