今日、世界中の消費者にとっては、あふれるように提供され続ける情報の中で、これまでにないほど豊富でバリエーションに富んだ選択肢の幅が広がっています。
ガートナーが2011年に実施した調査によると次のような統計データがあります。
- 消費者の89%は、顧客経験価値が悪いと、その企業から離れていく
- 消費者の86%は、顧客経験価値が改善されれば、もっと高い料金を支払ってもよいと考えている
- 消費者の58%は、顧客経験価値が優れているほうの企業を知人に勧めたいと思っている
この統計データは、その国や地域に適した優良な顧客経験価値を提供することで、顧客を獲得・維持し、新規市場での成長を加速させることができることを、裏付けています。
製品やサービスはコモディティ化がますます進み熾烈な価格競争が激化しています。そうしたビジネス環境下で、各国や地域に適した、的確な顧客経験価値の実現と向上こそが他社との重要な差別化ポイントであることがますます明確になってきました。
そのためには顧客一人ひとりを理解し、顧客の言語や文化について十分考慮する必要があることは言うまでもありません。
注目されるビッグデータと、その価値
世界のグローバル企業は、どのようにすれば各国、地域ごとに適した戦略で顧客経験価値を向上させ、差別化することができるのかと知恵をしぼっています。その中で最近とくに注目されているのが「ビッグデータ」です。大手ITソリューションプロバイダーの現在のビジネスキーワードは「クラウド」と、この「ビッグデータ」だと言っても過言ではありません。
ビッグデータの解釈の仕方は様々ですが、一言でいうならば「高頻度(Velocity)で生成される、多様性(Variety)をもつ、正確(Veracity)な、大量(Volume)のデータ」といえるでしょう。
具体的な例としては、構造化されていない非構造化データである文章、音声、動画などのいわゆるマルチメディアデータ、半構造化データである電子メール、XMLデータ、機器やセンサーからのデータや通信ログデータなどが挙げられます。
そもそもこのビッグデータにはどのような価値があるのでしょうか
ガートナーによるとビッグデータを使用している企業は全体の10~15%に過ぎないものの、それらの企業の財務実績は他社よりも20%上回っているという調査結果があります。ビッグデータから高度な知見や競争力を導き出す具体的な例として「リアルタイムマーケティング」、「パーソナライゼーション」があります。
現代のイノベーションをリードする会社としてGoogle、Amazon、Facebook、Appleは「4人の強者」(Gang of four) と呼ばれ、インターネット上の消費者革命を支える代表者としてよくとりあげられます。この4社はビッグデータの取得、利用でも抜きんでています。
例えばGoogleは、キーワード検索により消費者の関心事項を押さえていますし、Amazonは、購買データはもとより購買に至るまでの動線データやクレジットカードなどの決済情報を押さえています。
Facebookはソーシャルグラフデータの覇者ですし、Appleは魅力的なデバイスとiTunesストアにより消費者接点を確立し決済情報、関心情報、購買データを保有しています。