写真●Windows 8の言語オプション
写真●Windows 8の言語オプション
[画像のクリックで拡大表示]

 ジャストシステムから2013年版の新しい「一太郎2013 玄」と「ATOK 2013」が発売された。先日別件で同社関係者の話を聞いたのだが、ATOKのような日本語入力IME(Input Metod Editor)をWindows 8に対応させるのは、けっこう大変な作業だったようだ。

 というのも、新しいModern UI上でのサードパーティ製アプリは、それがIMEであろうと、いっさいの例外は許されず、その挙動が制限されるからだ。具体的には、各アプリが稼働する際には、AppContainerと呼ばれる一種のサンドボックスの中で実行され、アプリケーション間の通信や、直接のファイルの読み込みや書き込みなどの点で制限がある。

 新しいATOKはデスクトップで稼働するIMEとして実装されているが、それをModern UIから使うときには、アプリごとでの日本語入力の学習結果を、どうやって反映するのかなど、解決しなければならない問題が山積みだったと聞いた。

デスクトップとギャップが大きいModern UI

 今後、Windows 8がこなれていくにつれて、各種の入出力機器や周辺デバイスをWindowsストアアプリから使いたいという要求も高まっていくだろう。たとえば、タッチスクリーンのデバイスドライバを、ベンダーオリジナルのものにして、応答性や使い勝手を高めるといったことだ。これまでのWindowsではやり放題だったこうしたことが、これからのWindowsでは難しくなるかもしれない。

 また、標準アプリの「フォト」などの挙動を見ると、いったんインポートとしてローカルストレージにコピーしてしまわないと、外部ドライブとして認識されているメモリカードの画像を表示できないことがわかる。

 これはけっこう不便だが、セキュリティ的なことを考えての仕様なのかどうかよくわからない。なぜなら標準アプリの「リーダー」は、普通にメモリーカード内のPDFを読み取れるからだ。アドビが無償で配布しているストアアプリAdobe Readerでも同様だ。ただ、いわゆるオープンダイアログに相当する標準のファイル選択画面は、ファイルのサムネイル表示さえできないのには閉口する。

 Modern UIはOSinOSのようなものだ。デスクトップアプリからWindowsストアアプリに情報を渡すのは比較的ゆるやかだが、逆のWindowsストアアプリからデスクトップアプリへは様々な不便が現状として存在する。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei