想定外の事態に備える

 今秋は新しいIT活用をめぐる法務関係の出版ラッシュだった。従来の判例や法が想定していない事態に企業が経営判断を下す必要があるからだ。中でも本書はクラウドコンピューティングサービスの著作権や特許など、実務で必要となる高度な記述が豊富。特にクラウドサーバーの所在する国で、契約に基づく権利を公的機関の助力を得て執行するには「クラウド事業者が自らの都合のみでデータ所在地を変更できないよう契約上の義務を課すことなどが考えられる」など、導入に二の足を踏む企業にとって参考になる記述が多い。

 ゲーム内のアイテムや仮想通貨をゲーム外で現金で売買するRMTや、IDとパスワードの不正利用、「本人みなし利用条項」の有効性なども関係者には興味深いだろう。

クラウドビジネスと法
クラウドビジネスと法
一般財団法人ソフトウェア情報センター 編集
第一法規発行
3150円(税込)