元社長が海外展開の苦労語る

 近年日本でも店舗展開を加速しているスウェーデンの家具販売チェーン、イケア。同社の社長を1999年から10年務め、在任中に企業規模を3倍にし、44カ国への展開を果たした著者が、成長の過程を記した。成功のエピソードだけでなく失敗談も率直に語っている。

 ビジョン、差異化戦略、海外進出、ガバナンスの4つの章から成る。特に独自商品と低価格という「商品レンジ」へのこだわりと、その実現のために築いたバリューチェーンが詳しく語られる。また44カ国への進出を果たすうえで、国ごとにどのような戦略を立てたかも明らかにする。例えばロシアでは、イケア自身がショッピングセンターを運営し、イケア店舗を併設させて、集客と収益を補完したといった事例を学べる。

IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか
IKEAモデル―なぜ世界に進出できたのか
アンダッシュ・ダルヴィッグ 著
志村 未帆 訳
集英社発行
1680円(税込)