写真●Windows 8の電源オプション
写真●Windows 8の電源オプション
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 Windows 8時代のパソコンは、使っていないときにどのような状態にしておくかが悩ましい。セキュリティのことを考えれば、きちんとログオフしてシャットダウンしておくのが王道だろうが、それでは次に使うときの起動に時間がかかってしまう。

 Windows 8のシャットダウンでは、ある種のズルをしていて、起動時のイメージをそのまま保持している。こうした、ゼロから再起動しないという工夫をすることで、Windows 8はそれなりに高速にブートするのだが、どうしたってスリープからのような瞬時の復帰には勝てない。

 加えて、シャットダウンをすると、その間はいっさいの通信を実行しないのも問題だ。そのため、各種のデータ同期ができないというのが痛い。そこで期待するのが、新しい「Connected Standby」機能である。

Connected Standbyでの同期では中途半端

 Connected Standbyは、スリープ中にも通信を維持しておけるというWindows 8の新しいモードだ。開発コード名「Haswell」として開発している次世代のCoreプロセッサ、あるいはすでに市場に出ている開発コード名「Clover Trail」と呼ばれる最新のAtom搭載機でのみ利用できる機能である。

 ただ、このモードで通信を続けられるのは、いわゆるWindowsストアアプリだけで、デスクトップアプリについては依然としてスリープ中に完全に停止してしまう。ということは、日頃のコミュニケーションに使っているデスクトップ版のOutlookも止まってしまうのだ。さらに、SkyDriveのようなストレージ同期も停止してしまう。

 これらの同期が常に完了していてこそ、ノートパソコンを持ち出すときの可用性が高まるはずなのに、出先でノートパソコンを開いたときに昨日の状態のままというのでは興ざめだ。ファイルの検索に使うWindows Searchのインデックス作成も止まってしまうので、探したいときに肝心のファイルが見つからないといったこともあるかもしれない。

 マイクロソフトとしては、この省エネの時代に、使っていないときにもパソコンを稼働させっぱなしにしておこうという提唱はなかなかしにくいというのもあるのだろう。そのギリギリの妥協点が、現在のConnected Standbyだとは思う。だがそれならば、せめてSkyDriveの同期やインデックス作成くらいはストアアプリ側に統合し、デスクトップが眠りについても実行されるような仕組みを提供してほしいものだ。

山田 祥平(やまだ しょうへい)
フリーランスライター
1980年代、NEC PC-9800シリーズ全盛のころからパーソナルコンピューティング関連について積極的に各紙誌に寄稿。Twitterアカウントは @syohei