Windows 8では、ユーザー名とパスワードのほかに「Microsoftアカウント」を使ってログオンすることができる。いや「ログオンすることができる」という表現は正しくない。むしろ“Windows 8は、Microsoftアカウントでログオンする”といった方が正確かもしれない。なぜなら、Windows 8にとって「Microsoftアカウント」こそがデフォルトのアカウントだからだ。

 今回は、新しく導入された「Microsoftアカウント」の作成手順を紹介しながら、従来のアカウントとの違いについて説明する。

従来のアカウントは「ローカルアカウント」になる

 これまでのWindowsでも、そもそも2種類のアカウントがあった。

 1つは、ユーザーアカウント情報を個々のマシンごとに保存するもので、このような形態のアカウントをWindows 8では「ローカルアカウント」と呼んでいる。ワークグループと呼ばれる形で複数のPCがLAN上のグループとして接続されていたとしても、アカウント情報は各マシンごとに個別に用意される。

 もう1つが、企業などが採用するWindowsドメインの「ドメインアカウント」だ。ドメインアカウントは、ドメインコントローラーと呼ばれるネットワーク内にあるサーバーが全ユーザーのアカウントと設定情報を一元管理する。そのため、同じドメインネットワークに接続されているPCであれば、どこからでもログオンが可能となる。

 しかしWindows 8では、このどちらにも属さない「Microsoftアカウント」がデフォルトである。このMicrosoftアカウントのアカウント情報はマイクロソフトが管理する。もし「ローカルアカウント」でサインイン(Windows 8では、ログオンをサインインと呼ぶ)した場合は、「インターネットを利用したデバイスの同期」や「Windowsストアアプリの購入」ができないなどの制限が生じる(図1)。

図1●ローカルアカウントの制限<br>ローカルアカウントでWindows 8にサインインしていると、他のWindows 8マシンと同期をとったり、Windowsストアアプリのインストールができないなどの制限が生じる。仮にWindowsストアアプリのインストールを強行しようとしても、Microsoftアカウントの追加を要求されてしまう。
図1●ローカルアカウントの制限
ローカルアカウントでWindows 8にサインインしていると、他のWindows 8マシンと同期をとったり、Windowsストアアプリのインストールができないなどの制限が生じる。仮にWindowsストアアプリのインストールを強行しようとしても、Microsoftアカウントの追加を要求されてしまう。
[画像のクリックで拡大表示]

 実はこの「Microsoftアカウント」、かつては「Windows Live ID」と呼ばれていたものと同一である。Windows Live IDは、マイクロソフトのメールサービスである「Hotmail」や、クラウド型ストレージサービスである「SkyDrive」などの、インターネットサービスの共通アカウントとして利用されていた。それが、Windows 8の発売と同時に「Microsoftアカウント」へと改名された。したがって、これらのサービスを利用しているユーザーは、既にMicrosoftアカウントを持っていることになる。