2012年10月末、米国東海岸をハリケーン「サンディ」が直撃し多大な被害をもたらした。ニューヨークで停電や浸水などの問題が多発したことから日本でも大きな話題になった。毎年ハリケーンがやってくる米国の通信事業者の災害対策を紹介する。


 ハリケーン「サンディ」が米国東海岸を直撃した2012年10月29日、首都ワシントンD.C.のほかニューヨークなどでも大規模な停電が発生。被害は17州820万世帯に及んだ。原因の一つは同日夜、地元の電力会社であるコンソリデーテッド・エジソンが地下設備に被害が及ぶのを避けるためにマンハッタンの南端部への電力供給を停止したこと。データセンター事業者のデータグラムのネットワークをはじめとして多くのネットワークが停止した。そのため一部メディアのWebサイトがシステム障害やアクセス不能に陥った。

電話、インターネット、テレビに障害

 ハリケーンによる停電や浸水の影響で、翌30日にかけて、携帯電話や固定電話、インターネット、ケーブルテレビなどで通信障害が発生した。米通信事業者2位のベライゾンでは、ニューヨーク市ロワー・マンハッタン、クィーンズ、ロングアイランドの通信網・機器を管理する複数のハブオフィスが浸水によって停電し、非常用電源も使用不能に陥った。テレビやインターネット、固定電話すべてのサービスが利用できない状態になった。

 ニューヨークにある自社ビルも3フィート(約90cm)浸水し、社員の通常業務にも多大な影響を与えた。同社は今回のサンディで、2011年のアイリーンの1億8000万ドルを大きく上回る約3億600万ドルの損失を被った。通信事業者合計では5億5000万~6億ドルの損失と推計されている。

 同3位のスプリントも停電の影響を受けた。一部の携帯電話基地局で機能が停止し、通信障害が発生した。同1位のAT&T、同4位のT-モバイルUSAでも一部の地域で通信障害が発生していた。

 31日にはFCC(連邦通信委員会)が、東部10州で電波塔の25%が倒壊したと発表。同日の東部10州158郡における無線基地局の停止状況は22%で、こちらは前日の25%からやや改善したという発表があった。

 ケーブルテレビ最大手のコムキャストやケーブルビジョン・システムズのケーブル電話、インターネット、テレビサービスも停電の影響で利用できなかった。