スマートフォンやタブレット端末の普及に伴い、社内の業務アプリケーションとiPhone/iPad上で動くiOSアプリを連動させて業務の効率化を図る事例が増えています。開発したiOSアプリを使えば、いつ、どこからでも社内システムにアクセスできるので、当日の売り上げを確認する、業務日誌を外部から記入する、顧客の要望に応じてプレゼンの資料をダウンロードして編集する、といった様々な作業が端末内で可能になるのです。

 例えば、営業支援ツールとしてiPadを使ったシステムの構築事例は数多く存在します()。ダイキン工業では営業支援ツールとしてiPadを導入し、営業担当者が資料や情報を活用できる専用アプリを開発しています。アサヒビールでは、iPadでファイル共有のクラウドサービスにアクセスし、提案書やマニュアル、カタログなどの資料を閲覧できるシステムを導入しました。住友信託銀行は、iPhoneで顔認証させて利用者を特定する外勤支援システムを導入しています。

表●業務向けのiPhone/iPadアプリを作成した主な企業
企業名作成したアプリの概要
アサヒビール商品カタログや動画などを使った得意先への提案資料を配信するほか、リモートアクセスによって社内のパソコン経由で営業日報システムなどの業務システムを利用できる
ダイキン工業営業担当者向けに作成。担当者が、顧客の質問に応じて資料をダウンロードしたり、編集したりできる
ヒルトン・ワールドワイドiPadで結婚式に参加できるサービス「おうちde結婚式」を開始。自宅と宴会場をインターネットでつなぎ、iPad上で結婚式の様子を中継する
住友信託銀行営業担当者が外出先で顧客情報や金利情報などを閲覧できる営業支援システム「i-Boats」を構築。不正利用を防ぐために、顔認証機能を備えている
ABCクッキングスタジオiPad上で手書き入力できる入会登録システムを構築。手書き入力が可能なので、キーボード入力に慣れていない人でも違和感が少なく入力できる。また、手続きの際の待ち時間を短縮する効果もある

 また、顧客の満足度向上にもiPhone/iPadアプリは効果が期待できます。ABCクッキングスタジオでは、iPad上で手書き入力できる入会登録システムを導入し、申し込み手続きの短縮化を図りました。ヒルトン・ワールドワイドでは、iPadを使ってリアルタイムに結婚式の様子を配信するサービスを展開しています。

 ここで挙げた導入事例は数あるなかのほんの一部ですが、これらの事例かもわかるように、これからのワークスタイルにスマートフォンやタブレットの活用は必須といえるでしょう。そこで本連載では、iPhone/iPadで稼働する業務アプリケーションの作り方を基礎から解説していきます。今からでも遅くはありません。必要に迫られて開発に着手した人も、興味が沸いてきたので開発してみようと思った人も、この連載を読んでiOSアプリ開発の基礎を習得しましょう。