システム開発の受託で拡大してきたFPTソフトウェアが、新たな成長の起爆剤として日本向けのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業に乗り出す。ITホールディングス傘下のアグレックスと業務提携し、日本向けのBPO事業に本格参入する計画。両社は2013年春までに、業務提携について正式合意する見込みだ。

 これまで、日本から海外へのBPO委託先でメジャーだったのは中国だ。しかし、人件費の高騰や沖縄県の尖閣諸島問題による日中関係の悪化を受けて、中国に委託先が集中しすぎる点を懸念する日本企業も出始めた。FPTソフトウェアとアグレックスは、BPO業務の人件費が中国の半分程度とされるコストの安さや、リスク分散の重要性を日本企業に訴求し、ベトナムへのBPO委託の需要拡大を目論む。

写真4●日本向けBPO事業参入に向けOJTを急ぐFPTソフトウェア
写真4●日本向けBPO事業参入に向けOJTを急ぐFPTソフトウェア

 両社の準備は着々と進む。本格的な事業開始に向けて、FPTソフトウェアはBPO事業のために200人を新たに雇用。フィリピンの大手BPO事業者の協力を受けながら、日本語によるデータ入力といった業務処理のOJTをハノイの拠点で始めている(写真4)。FPTソフトウェアのホアン・ナム・ティエン会長は、「10年後にはBPO事業を売上高1億ドル、従業員数1万人規模に育てたい」と意気込む。