ライブCD/DVD Linuxの代表格「KNOPPIX」。須崎氏は2002年から日本語化だけでなく、起動の高速化やセキュリティ強化など様々な改良を重ねてきた。10年間続けてこられた原動力は「たくさんの仲間とユーザーがいること」と語る。

(聞き手は高橋 信頼=ITpro


須崎 有康氏

 KNOPPIXに出会ったのは約10年前、研究で使うためのCD起動のLinuxを探していたときです。インストーラーがよく出来ていて、デバイスをほとんど自動認識してくれて、電源を入れると何もデバイスを指定することなくGUIが立ち上がりました。

 これは使いやすい、自分で使うだけでなく、多くの人に使ってもらいたいと思いました。KNOPPIXを作っているドイツのKlaus Knopperさんに連絡し、日本語フォントや日本語入力エンジンを入れたりして日本語版を作成して、CDイメージを公開しました。

 Knopperさんとは今もやり取りしていますが、実は会ったことはないんですよ。ドイツに行った際に会おうとしたのですが、Knopperさんに急用ができて会えませんでした(笑)。

 KNOPPIXの日本語版は、単に日本語化するだけでなく、トラステッドブートと呼ぶ技術でセキュリティを高めたりしています。LCATと呼ぶ技術で起動の高速化も図っています。これはKNOPPIXのサポートやカスタマイズを事業にしているアルファシステムズが開発した技術ですが、起動速度が2倍くらいになります。LCATのおかげでKNOPPIX日本語版はライブLinuxの中でも最も高速に起動します。

 LCATを入れたりしているので、1回の日本語化には1週間くらい掛かります。最初の頃は毎月のようにバージョンアップがあり、日本語化作業が大変で、土日を潰して作業したりしていました。最近は落ち着いてきて楽になりましたが。多くの人が使ってくれていると思うと責任を感じます。

なぜ10年続けられたのでしょう。

 研究者としてのテーマは仮想化やセキュリティの強化です。日本語化や普及のための活動は研究者としての仕事ではありません。なのに、なぜ10年続けてきたのかと聞かれると、そうですね、素晴らしいソフトを皆に使ってもらいたいという思いですね。