「企業向け」をうたうタブレット端末の新機種を、国内外の大手メーカーが競うように投入している。個人向けに販売している製品よりも運用管理機能やセキュリティ対策を強化したのが特徴だ。

 米グーグルのOS「Android」を採用する製品が先行していたが、2012年10月、新たな旗振り役が登場した。タッチ操作機能を訴求する米マイクロソフト(MS)の最新OS「Windows 8」だ。

 その発売を受けてレノボジャパンとデルが12月に、Windows 8搭載製品の出荷を開始した。日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は2013年2月に販売を予定。「きょう体のデザインやソフト、ハード、インタフェースなど全般にわたり、企業がタブレット端末に求める仕様を詰め込んだ」。日本HPの九嶋俊一プリンティング&パーソナルシステムズ事業統括クライアントソリューション本部長はこう強調する。

 MSは米国で販売する自社ブランドの消費者向けタブレット端末「Surface」の日本投入を見送る代わりに、Windows 8タブレット端末の法人需要を開拓するためNTTドコモとの提携を決めた。

 Androidタブレット端末も続々と新製品が登場している。パナソニック システムネットワークスが2012年1月、NECが7月に新機種を追加した。「顧客企業からの要望を開発に反映した。セキュリティ強化などのために、OSレベルまでチューニングしてある」(NECの岡田靖彦クラウドデバイス事業部長)。カシオ計算機も11月に新機種を発売。富士通は10月以降、Windows 8タブレット端末を2機種、Androidタブレット端末を1機種、投入している。

 メーカー各社が企業向けタブレット端末への取り組みを強化する理由は、大手ユーザー企業の本格導入を見込むからだ(表1)。「数万台のWindows 8タブレット端末の導入計画を進める国内企業も既にある」と、NTTドコモの有田浩之法人事業部法人ビジネス戦略部事業企画・法人マーケティング担当課長は明かす。

表1●2012年7月以降にタブレット端末を導入したユーザー企業の例
表1●2012年7月以降にタブレット端末を導入したユーザー企業の例
1000台以上と大量のタブレット端末を導入する企業がこの半年間で相次いでいる
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