データセンター(DC)分野で3社の現地IT企業と提携し、タイでDCサービスを提供しているのが「KDDIタイランド」。顧客の拠点の場所や、必要なネットワーク構成などに応じて、最適な事業者の設備を提案しているという。KDDIタイランドの佐々木康宏社長に、事業状況などを聞いた。
複数のタイのIT企業と提携している。
DC分野では現在、大手IT企業のトゥルーインターネットデータセンターやCATなど3社と提携している。これらの3社のDCは場所や仕様がそれぞれ異なるため、提携先を増やしておくことで、顧客からの多様な要望に応えやすくなる。
顧客の拠点から近いかどうかや複数キャリアによる冗長化の取り方、運用メニュー、コストなど、顧客のDC選定のポイントは様々だ。
提携先の主要な一社であるトゥルーインターネットデータセンターとは、どのような企業なのか?
トゥルーは、グループで様々な通信サービスを提供している企業だ。固定通信やネット企業などを傘下に抱えている。
同グループは、バンコク近郊に2カ所のDCを開設しており、その一つであるムアントンターニセンターは大型の設備となっている(写真1)。顧客が有事にオフィス設備を借りられるDRオフィスも併設してある。
ムアントンターニセンターは高台にある。このため、2011年の洪水時に周辺が浸水したときでも、このDCは結果的に問題なかった。ただ、当時は念のために、周りにコンクリートの壁を作るなどの対策を施した(写真2)。
タイで引き合いの多い案件は?
日系企業が増えているため、進出支援案件がやはり多くなっている。オフィスや工場のPC、ネットワークを一元的に構築するIT環境セットアップの引き合いは堅調だ。
DCの需要も盛り上がっているが、大規模なシステム移設ではなく中小規模の移設が多い。システムだけではなく、自社拠点に置いていた社内ネットワークのハブをDCへ移す動きもある。タイでの案件が増えて人手が足りなくなっているため、来期に向けて現地法人の採用数を増やす予定だ。