赤シャツ事件や洪水など、BCP(事業継続計画)策定の必要性を認識させる事件が毎年のように起きているタイのバンコク。こうした状況をうけ、タイで需要が高まっているのがデータセンター(DC)だ。タイでのDC販売を強化しているNTTコミュニケーションズ タイランドの宮崎一ディレクターに状況を聞いた。
タイにおけるDCサービスの現下の販売状況は?
特に2011年に発生したタイの洪水騒動以降、DCの需要は堅調に推移している。企業からの引き合いが多くなり、予約も順調だ。現状のサーバールームは、予約を含めると2012年秋時点で8割が埋まってしまった。このため、他のフロアにサーバールームをさらに拡張して、売り始める計画だ。
洪水で一部の工業団地が浸水した際は、サーバーを工場から自ら運び出し、「このDCにサーバーを置いてほしい」と持ち込んだユーザー企業も複数社ある。
工場やオフィスなど、自社拠点に業務用サーバーを設置していた企業は、こうした非常事態に実際に直面し、サーバーをDCに設置しておく重要性を認識した形だ。
バンコクのDCはどのような設備なのか?
タイでは現在、現地IT企業のTCCテクノロジーから設備を借りてDCサービスを提供している(写真1)。同設備はDC専用ビルではないが、以前は新聞社の輪転機を置いていたビルであり、元々が非常に頑丈な仕様となっている。信頼性が高いDCとしての転用が可能だった。
このDCは、バンコク中心部から高速道路で30分程度の距離にある。そのため、市内のユーザーも何かがあった際に駆けつけやすい。重要設備である空港に近い位置にあるため、国としての洪水対策の優先度が高いエリアでもある。実際に、2011年の洪水時でも、このエリアは問題なかった。