iPhone 5の登場とともに、KDDI、ソフトバンクモバイルがLTE(Long Term Evolution)サービスを開始し、国内の全携帯電話事業者のサービスが出そろった。今後、日本の携帯電話市場は本格的な“4G”時代に突入する。最新・秋冬モデルのスマートフォンを使い、各社のネットワークの実力を探った。

 2012年秋冬モデルでは、NTTドコモに加え、KDDI、ソフトバンクモバイルからもLTE対応スマホが登場し、“4G”スマホの選択肢が一気に増えた。事業者が展開するネットワークの違いが分かる5機種を選び、実力をチェックした(表1)。

表1●注目の“4G”対応最新スマホをネットワーク面から比較
表1●注目の“4G”対応最新スマホをネットワーク面から比較
各社からLTE対応スマホなど、“4G”対応機種が多数ラインアップされるようになった。対応通信サービスや利用周波数帯にそれぞれ違いがあり、ネットワーク面から各端末の実力をチェックした。
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同一事業者でもバンドごとに違い

 まず評価対象としたのは、LTEに対応した「iPhone 5」(米アップル製)。KDDIとソフトバンクモバイルの両社のモデルを選んだ。いずれも2.1GHz帯のLTEを利用する。

 次に選んだのはKDDIの「AQUOS PHONE SERIE」(シャープ製)。これはKDDIが2012年11月に開始した、Android端末向けLTEサービスのテスト用だ。こちらはiPhone 5とは異なり、主に800MHz帯を使う。同一事業者であっても、各バンドごとにエリア、スループットなどの違いがあるとの想定から、KDDIの800MHz帯LTEの実力を探るためにピックアップした。

 またソフトバンクモバイルからは、別規格の“4G”スマホも登場している。関連会社であるWireless City Planning(WCP)が展開する2.5GHz帯のAXGP(TD-LTE)を用いるスマホだ。そこでAXGPの評価用として、「STREAM 201HW」(中国ファーウェイ製)を選んだ。

 最後の1機種は、1年以上前からスマホ向けにLTEサービスを提供しているNTTドコモの端末。ドコモはこの秋冬モデルから、1.5GHz帯のバンドを使った最大100Mビット/秒のLTEサービスを提供している(東名阪を除く一部地方のみ)。ただし、今回は都心部における実力を比較するため、夏モデル「GALAXY S III」(韓国サムスン電子製)を利用して、2.1GHz帯のLTEの通信速度を調査した。

 調査項目は3項目。(1)本体スループットの計測による各ネットワークの実力、(2)CSフォールバック(LTE圏内で音声の着信があった場合の3G網への切り替え)の挙動、(3)iPhone 5を使って東京駅周辺のKDDIとソフトバンクモバイルのLTEエリアの違い---である。