2012年、企業におけるスマートフォンやタブレットなど私物デバイス活用の形態として「BYOD(私物デバイス活用)」が急速に広がった。多くの企業が私物デバイスの業務利用に踏み切り、利用ルールや利用環境の整備を開始した。BYODを支えるツールも整備されてきた。私物デバイスだけでなく、従業員が個人で契約した“私物クラウド”を業務に利用するケースも広がる。

 2013年、スマートデバイスはもっと進化し、普及する。情報システム部門は「私物デバイスの利用を認める」という受け身の姿勢から、私物・開始社支給にかかわらず「スマートデバイスを積極的に活用し、従業員のワークスタイルを変革する」という変化をリードする姿勢へと転じ、企業の生産性向上やイノベーションを推し進めることが求められる。そしてそれは、情報システム部門そのものを変革することにもなる。

急速に広がるBYOD事例

6社の先進事例から探るBYOD攻略の秘訣

 個人所有の端末を業務に利用するBYODが今注目を集めている。コンシューマーで培われたスマートフォンやクラウドの利便性を業務にも生かし、生産性を向上しようという試みだ。実際に導入に踏み切った企業はまだ少ない。従来のITインフラは、会社支給の端末を前提に作られており、BYODについて、企業のIT部門はセキュリティを懸念する。しかし、BYOD向けの新しいソリューションも続々と登場している。そうしたソリューションを含め、BYOD導入のための勘所を押さえる。

BYODの実際

 BYOD(私物デバイス活用)はどこまで広がっているのか。ユーザーの本音は。実際に導入している企業では、どのような効果が得られ、どのような措置を講じているのか。アンケートと事例からその実際を探る。

スマホ・PCの私物解禁!

 「今日から私物解禁!」――。社員が自分で購入したスマートフォンやパソコン(PC)の業務利用を“正面切って”許す企業が相次いでいる。東日本大震災や電力危機をきっかけに、私物の情報端末で社内システムに接続し利用するメリットを認識。従来はセキュリティ面などへの不安から「私物禁止」か「私物黙認」としていた企業が、「私物解禁」に方針転換している。

私物デバイスだけでなく“私物”クラウドも

公私混同のススメ ~ 今どきのBYOD

 私物のスマホやタブレット端末を業務で利用するBYOD(ブリング・ユア・オウン・デバイス)が新展開を見せている。仕事を円滑に進めるために、オンラインストレージやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など、個人が契約したクラウドサービスを私物の端末から利用するビジネスパーソンが増えているのだ。こうした端末やシステムの“公私混同”の潮流に、システム部門はどう対処すればよいか。本誌は二つの方策を提案する。

私物スマホと個人向けクラウドの業務利用―実態調査報告

 スマートフォンやタブレット端末、クラウドサービスの業務利用に関するアンケートを実施し、ITpro読者の方々から多数のご回答をお寄せいただいた。“新しいBYOD”の活用がどの程度進んでいるのか、アンケートを通じて実態をつかもうとしたものだが、結果は想像以上だった。