ビジネスブレイン太田昭和
会計システム研究所 所長
中澤 進

 金融庁が、日本におけるIFRS(国際会計基準)導入のロードマップを示した中間報告(我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告))を公表したのは2009年のことである。中間報告では、2012年にIFRS(国際会計基準)導入の可否判断あるいは採用方法について決定するとしていた。しかし、金融庁は何ら決定することなく、2012年が終わろうとしている。

 これは基本的に米国の影響が大きい。2009年に官民そろって声高にIFRSアドプション(適用)推進ののろしを上げたのは、前年に米国が突然、IFRSアドプションを表明したからである。しかし米国はIFRSアドプションに対して、いまだ明確な方針を出していない。日本の現状は当然の帰結といえよう。

 その米国は2012年7月のSECの最終報告以来、音ざたがない(関連記事:IFRS導入の可否を決めなかった米国(上)同(下))。さらに、米国のスタンスを大きく変えたSEC(証券取引委員会)のシャピロ議長は同12月14日で退任した。米国の会計基準設定主体であるFASB(米国財務会計基準審議会)のサイドマン議長も2013年6月に退任する予定である。

 IFRSの策定主体であるIASB(国際会計基準審議会)にとって、シャピロ元議長とサイドマン議長は共に手ごわい相手であった。この両名の退任が潮目を変えるかどうか、これも不透明な状況である。