ソフトバンクモバイルのLTEサービスは、「実は直近で利用できる周波数帯は少なく、1年乗り切れるかどうかの綱渡り状態が続く」(ソフトバンクモバイルの石原弘電波制度室長)。2012年9月にLTEサービスを開始する際には、既存の3Gユーザーを2012年3月に追加割り当てを受けた900MHz帯に収容。なんとか2GHz帯で最大10MHz幅×2を空けた。

 そんなソフトバンクグループにとってポイントは、イー・アクセスの1.7GHz帯と、Wireless City Planning(WCP)が展開するTD-LTE100%互換のAXGPの活用だろう(図1)。

図1●ソフトバンクグループの各周波数帯のLTE移行計画
図1●ソフトバンクグループの各周波数帯のLTE移行計画
取材をベースに2016年までのロードマップを日経コミュニケーションが推定した。WCPやイー・アクセスなどグループ会社の網とCSFBを実現することで、トラフィックの分散を目指す。グループとしての獲得済みの帯域こそ多いが、直近で利用できる帯域幅は意外に少なく、綱渡りの運用も考えられる。
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 2GHz帯は既存の3Gユーザーを支える必要があるため、LTE向けには10MHz幅×2の状態が長く続くと考えられる。900MHz帯も、15MHz幅×2を使えるようになるのは早くても2014年半ばからと見られる。つまりLTEで高速化を図るには、イー・アクセスの1.7GHz帯15MHz幅×2をフルにLTEに使い、ここで最大112.5Mビット/秒に増速するのが最善の策となる。いかに迅速にソフトバンクモバイルとイー・アクセスのネットワークを統合していくのかが今後のポイントになりそうだ。

 AXGPの活用については、2012年10月に発表したAndroid搭載の冬モデルにて、主力の6機種全部を最大76Mビット/秒のAXGPに対応させた。当面、iPhone以外のスマホはこちらに収容していく考えと見られる。