KDDIは、2012年9月に開始したiPhone 5向けのLTEサービスに、2GHz帯で最大10MHz幅×2を利用している。11月からは800MHz帯、1.5GHz帯でもLTEサービスを始めた(図1)。それぞれ10MHz幅×2を使う、Androidスマホ向けだ。当初はこのように周波数帯ごとに端末の種別が分かれているが、「将来的にはマージしていく」(KDDIの田中孝司社長)。

図1●KDDIグループの各周波数帯のLTE移行計画
図1●KDDIグループの各周波数帯のLTE移行計画
取材をベースに2016年までのロードマップを日経コミュニケーションが推定した。KDDIグループのLTE増速化のメインバンドは2GHz帯になると予想される。なおこれまで高速化手段としてスマートフォンにモバイルWiMAXを搭載してきたが、今後はこれらがLTEに替わると見られる。モバイルWiMAXは、固定の代替え用途へと活用していくようだ。
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 同社の今後のLTE戦略は、2GHz帯を中心に進みそうだ。2013年前半にはLTEサービスを112.5Mビット/秒に増速。さらに2013年度中には最大150Mビット/秒まで速度を上げるとしている。カテゴリー4のLTE端末を導入し、LTEで20MHz幅×2を確保する考えだろう。

 ドコモから2年近くLTEサービス開始が遅れたことを意識し、差別化できる機能も一部に取り入れている。その一つが、CSフォールバック(CSFB)の応答速度を高められる「enhanced 1X CSFB」だ(図2)。

図2●ネットワークの細かな機能追加も差別化ポイントに
図2●ネットワークの細かな機能追加も差別化ポイントに
KDDIはCSFBの応答速度をこれまでよりも早くするenhanced 1X CSFBという仕組みをLTE開始とともに導入した。
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 3GPPのRelease 9で標準化された仕様で、音声着信した場合にLTE網で先に信号処理をし、3Gにハンドオーバーする際に既に音声通話の準備ができている状態にする。これにより、切り替えの待ち時間を短縮できる。通常のCSFBでは約8秒かかる切り替え時間が、enhanced 1X CSFBでは約4秒で済むという。ネットワーク側に加えて端末側の対応も必要になるが、iPhone 5は既に対応している。