LTEサービスの開始で先行しているNTTドコモ。2012年9月末現在で、既にLTEの契約者数は620万近くまで増えており、2012年度内に1000万契約以上とすることを目標にしている。他社が垂直立ち上げに近いエリア展開を急ぐ中、ドコモも当初計画を前倒し、年度内に基地局を約2万3000局、政令指定都市の人口カバー率100%を目指す。

 LTEの高速化も他社より一歩先に開始する。2012年11月には、これまでの2GHz帯に加えて、800MHz帯と1.5GHz帯でもLTEサービスを開始。特に1.5GHz帯では、都心を除く一部地域で15MHz幅×2をLTEシステムに利用するため、最大速度はこれまでの75Mビット/秒から100Mビット/秒へと上がる(図1)。2012年10月11日に発表した同社の冬モデルは、全11機種がこの最大100Mビット/秒の速度に対応したモデル(カテゴリー3)となった。

図1●NTTドコモの各周波数帯のLTE移行計画
図1●NTTドコモの各周波数帯のLTE移行計画
取材をベースに2016年までのロードマップを日経コミュニケーションが推定した。赤色の帯がLTEを導入している帯域(5MHz幅単位)を表す。色の濃淡は、移行期間をイメージしている。
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 その次の方策は、カテゴリー4に対応した端末を導入することで15MHz幅×2のシステムで最大112.5Mビット/秒とすることだろう。さらにはLTE-Advancedのキャリアアグリゲーション(CA)技術を使って20MHz幅×2のシステムで最大150Mビット/秒のサービスを提供することも次のステップとして見える。

 同社はこれまで、2015年度末までにLTE-Advancedの開発を完了するとアナウンスしてきた。尾上誠蔵取締役常務執行役員(CTO)は「LTE-Advancedの要素技術を一部前倒して導入していくことも検討している」と話す。チップセットのロードマップなどを見ると、2014年の後半にはCAを使った最大150Mビット/秒サービスが登場する可能性がある。