2012年10月前半。日本はもちろん、世界の通信業界を揺るがす2週間だった。いずれも主役は孫正義社長率いるソフトバンクだ。
10月1日、独立系の新規参入事業者で、モバイルブロードバンドのマーケットをけん引する存在でもあったイー・アクセスを買収することを電撃発表した(写真1)。国内携帯電話事業者4社が大手3社に収れんするというビッグニュースである。買収が完了すると、ソフトバンクグループは国内第2位の契約数となり、さらに保有帯域幅ではNTTドコモを超えて国内トップに躍り出る(図1)。
衝撃はそれにとどまらなかった。さらに大きなニュースが今度は国を超えて日米を駆け巡る。10月12日、米国第3位の契約者数を誇る米スプリント・ネクステルを買収すると発表した(写真2)。記者会見に臨んだ孫社長は「売上高で世界第3位のモバイル事業者になった。これで日米の契約数でドコモを超えた」と満面の笑みを見せた。
このソフトバンクの積極攻勢は、モバイル市場が転換点にあることを如実に示している。第3世代(3G)携帯電話から第4世代(4G)への転換であり、携帯電話事業者にとっては競争環境が大きく変わる。今後しばらくは、LTEサービスのエリア展開、速度競争が一気に加速する。
この競争に火をつけたのは、世界的な人気を誇り、LTEに対応した一つの端末。そう。米アップルの「iPhone 5」だ(図2)。