あなたの仕事風景を思い浮かべてください。明日までに必要な資料の作成に着手したところに、取引先からの電話やメールが到着。やり取りに追われている間に部署の会議が始まり、それが予定を超えて延々と続く。ようやく資料作成に取りかかった頃には、集中力が右肩下がり。なんとか仕上げたものの、余計な表現や誤字脱字があって、またやり直し…。

 ここまで極端ではないにせよ、労働時間をなかなか有効に活用できていないと感じる方は少なくないでしょう。

 今回から、オフィス現場の「改善」をテーマに連載を展開します。現代の市場では品質・技術力に加えて、低コストが勝利の条件とされています。あなたの労働時間はまさにコストそのもの。つまり、低コストの実現には労働時間の最大限の活用が必須であり、その際に有効な「改善」は今や業界問わず求められているのです。

 早速ですが、以下の項目についてご自身でチェックしてみてください()。

図●チェックシート1(該当する□にチェック)
図●チェックシート1(該当する□にチェック)

 いくつの項目にチェックが入りましたか。チェックが多いほど、あなたの仕事には改善の余地があります。本連載で、180社を超える企業の現場でトヨタ流改善をお手伝いしてきた当社と一緒に、仕事の改善に取り組んでいきましょう。

問題を発見するための着眼点は5つ

 「改善? 工場ならともかく、オフィスで言われても、どこから手を付けたらいいのか」と思われた方がいらっしゃるかもしれません。しかしオフィスでも工場でも、何らかの視点を持って現場を見れば、改善の出発点となる問題を多く発見できるものです。そこで問題発見をサポートする5つの視点を紹介しましょう。

(1)品質のムダ:目的に合った水準で取り組んでいますか

 本来求められている水準を大幅に超えた内容の業務を行うことで、恐らくあなたの仕事のムダで最も高い割合を占めているものです。具体的には、結論とその理由を簡潔に伝えれば十分な報告書に対して、個別のプロセスを緻密に記述する、デザインに懲りすぎるなどのケースが挙げられます。

 このムダを防ぐためには、業務の目的を掴むことが第一です。重視されるのがスピードなのか精緻さなのか、求められているのが結果のみなのかプロセスも含めてなのか。あるいは、そもそもその業務自体が必要なのか。また、「パワーの分だけ仕事質は上がる」「手を抜いていると思われるのが怖い」「仕事は常に完璧な状態でないと気が済まない」などの考えが強すぎるとこのムダの温床となりやすいので、注意して下さい。