まずこの写真をご覧いただこう。これは昨年、サンフランシスコで開催されたハッカソンイベントの様子だ。東京ビックサイトのホール並みの広さの会場に700人ものエンジニアが集結し、それぞれWebサービスの開発を行った。24時間後には130もの新しいアプリケーションの開発成果が発表された。

写真● ハッカソン会場の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 「ハッカソン」(Hackathon)とは、HackとMarathonを組み合わせた造語で、開発者が集まってマラソンのように長時間ハック(開発)し続けるイベントを指す。シリコンバレーでは、毎週末のようにこのようなハッカソンが開催され、そこで続々と新しいアプリケーション・サービスが開発されている。

 ハッカソンは共同創業者となるメンバーが出会い、ダイナミックにスタートアップ(ベンチャー企業)が誕生する場所でもある。そのサービスが今後どれだけ大きな事業に育つか、この週末だけで分からない。しかし、たった2~3日でアイデアが形となって、プロダクトが動き出す、このスピード感には注意が必要だ。従来型の事業開発では、プロトタイプ開発を発注する要件定義を書くまでにも、もっと時間がかかるだろう。

 なぜ、現在のシリコンバレーでこのハッカソンが多数開催され、注目されているのか。スタートアップが増える背景と合わせて、投資家の視点から捉えて説明する。