IT技術者の働き方が大きく変わってきている。グローバル化する世界の中で、従来のオフショア開発を超え、小規模な案件も「クラウドソーシング」と呼ぶ形態で海外への発注が増えている。一方でマーケットがグローバルすることで、世界を相手にエンジニアが直接アプリやサービスを販売できるチャンスも広がっている。リクルートのWeb技術アーキテクトとして2007年から海外の技術ファンレンスに参加・講演し、2011年には米国・シリコンバレーでスタートアップ企業・エンジニア向けのイベントを主催してきた筆者が、シリコンバレーから見たエンジニアの未来を予測する。(編集部による要約)

 多くのIT企業が集積する米国シリコンバレーでは、スタートアップ企業の成長が著しく、エンジニアの人件費が高騰している。クラウド・スマートフォン・ソーシャルといった話題の分野でも、多くの人材が必要とされている。

 エンジニアの自由な働きかたを示す魅力の一つとして、中には社員の有給休暇が無制限に取得できるという企業も少なくない。会社と約束した仕事ができていれば、出社日数は制限されない。勤務場所が自由な会社もある。Webエンジニアなら、インターネットが繋がっていれば実際にはどこでも仕事ができるだろう。

月10万件、18億円がクラウドソーシングされるoDesk

 これまでのように社員が実際にオフィスに集まって開発を行う形態ではでなく、インターネット経由でフリーランスの個人に開発案件を発注できるクラウド型のアウトソーシングサービスの利用が米国で増えている。世界中から開発者を探して、発注要件と金額を決定して契約し、納品してもらい、その費用を支払うところまで、代理店や営業マンも介在せずにすべてオンラインで完結する。oDeskElanceといったサービスが大手だ。

写真●oDesk社のウェブサイト

 oDeskはソフトウエア開発に限らず、デザイン・執筆・翻訳・PR・マーケティング・電話サポートなど、多様な職種を扱っており、世界で140万人のフリーランサーが請負人(contractor)として会員登録している。2012年10月には、企業から10万件以上の仕事が登録され、2,200万ドル(約18億円)の案件がオンラインで成約し、支払われたという(oDeskの発表資料)。

 日本国内ではクラウドワークス社が、エンジニアやウェブデザイナーに特化した同様のクラウドソーシングサービスを提供している。2012年にベータサービスがスタートしてから既に2000社以上に利用されるなど、急成長している(関連記事)。

写真●oDesk の案件検索画面

 oDeskは牛丼チェーンのようなものと言えるかもしれない。特徴は

・安い
・速い
・ぼちぼち上手い

 ことだ。