ITproは年間1万本近い記事をお届けしている。その内容は経営、情報システム、ネットワーク、セキュリティ、ソフト開発など幅広い領域に及ぶが、今年多くのアクセスを集めたのが、スマートフォンやタブレット、電子書籍端末といったスマートデバイス関連の記事だ。総合ランキングの上位20本のうち6本を占めた。
しかし意外にも、今年最大の話題商品であり、ビジネス的にも大成功を収めているiPhone 5を取り上げた記事は2本だけ(12位の「次の焦点となる“ドコモがiPhoneを売る日”」、17位の「これは速い!想像以上のiPhone 5」)。首位に立ったのは「新型iPad、実機を試して分かった使い勝手とその実力」だった。
新型iPadやiPad miniの発表日にアマゾンがぶつけた「Kindle」発表のニュースも11位にランクイン(「アマゾンが日本向けKindle最新4モデルを予約開始、『無料3G通信付きで1万2980円」の衝撃』」)。「成功しなかったアップル製品たち」が2位に入ったのは、iPhoneをはじめとするアップル製品や同社のビジネスモデルに対する関心の高さの裏返しであろう。
スルガ銀-IBM裁判やファーストサーバのデータ消失事故に高い関心
“エンタープライズICT”ど真ん中の記事では、IT投資や企業情報システムの構築プロジェクトに関心のある読者から多くの支持を集めたとみられる「スルガ銀-IBM裁判」の記事が2本ランクインした(8位の「スルガ銀が事実上の全面勝訴 IBMの責任認めた判決の深層」と16位の「【週末スペシャル】“スルガ銀-IBM裁判”を振り返る」)。システム開発失敗を訴えたユーザー企業の全面勝訴という判決が、多くのIT関係者にとって衝撃的だったことを物語っている。
今年も多くのシステムトラブルが発生したが、特に関心の高かったのがファーストサーバの大規模システム障害によるデータ消失事故だ(14位の「ファーストサーバ最終報告書、ベテラン担当者のマニュアル無視を黙認」)。事故そのものを報じるニュースに加え、原因分析や、ユーザー企業としての対策に触れた記事もよく読まれた。
このほか、ITエンジニアのスキルアップに役立つ記事も上位に入った。3位の「鈴村さんが指南する業務フロー図の上手な書き方」、6位の「[Windows 7編]ネットワーク設定を標準で使ってはいけない」、9位の「評価を高める仕事術(25)「話が伝わらない人」の頭の中」、18位の「[ITベンダー技術者編]プロマネを軸に領域を広げよ」である。
一見して分かるように、これらの記事で扱っているスキルの分野は、要求定義、ネットワーク設定、コミュニケーション、プロジェクトマネジメントと幅広い。読者が日頃取り組んでいる業務領域に関係なく、スキルアップへの関心の高さを改めて裏付けた格好だ。