前回の記事で、「炎上」が、その火種の段階から、次第に拡大化していくまでの流れを7つのステップで説明した。こうした典型的な過程を詳細にブレイクダウンしながら理解しておくことで、仮に「炎上」が発生したとしても、それに対する心の準備が、ある程度はできるようになってくる。それだけでも、「炎上」に対するアプローチは変わってくるはずだ。

 また前回の記事では、インターネット上の「炎上」の規模が、[当事者の数]+[言及する第三者の数]で表されるということについても触れてみた。この「言及する第三者の数」を、どれだけ低く抑えるかが、ソーシャルメディア上における炎上の影響を最小限に食い止めるためのカギだといえる。こういった第三者が増加していくような状況が生まれる前に、企業側で的確に対応し、確実に「火消し」を行うことが「炎上」に対するマネジメントの重要なポイントとなる。

 今回は「炎上」に対するマネジメントを考えるにあたって、その具体的なアプローチについて解説しよう。

SNSを傾聴し傾向を毎日把握することが重要

 企業のソーシャルメディア活用で、その「守り」の側面を考えるにあたって、もっとも重要なことは何だろう。それは適切なモニタリング/リスニング活動に尽きると言ってもいい。

 これだけソーシャルメディアに接触し、発言をするユーザーが増加してきたことを考えると、日々ソーシャルメディア上に発信される会話を把握する作業は、企業においてもはや必須のタスクとなってきているはずである。この作業をインハウスで行うにせよ、エージェンシーやベンダーにアウトソースするにせよ、ソーシャルメディア上の会話をモニタリング/リスニングできる体制をきちんと構築しておくことが、炎上を防ぐはじめの一歩となってくる。

 その次に重要となるのがモニタリング/リスニングする際に注目すべきポイントである。この点については、ソーシャルメディア上の会話における、自分たちの企業の社名、ブランド名、製品名、あるいはサービス名に関するものとなることまでは当然である。だが、その際に「一日あたりの大まかな言及量」と「会話の大まかなトーン」の2点をきちんと押さえておくことを強く意識しておこう。この2点に関しては必ずしも正確な数字が集計されていなくても構わない。そもそも、これらの数字は詳細に分析を行うためのものではない。最も重要なのは「毎日確認すること」そして「おおよその傾向を把握すること」の2点だ。

 自分たちがソーシャルメディア上で、顧客やその予備軍となる人々から、どのように語られているかを、毎日ある程度把握しておく。こうして、自分たちのソーシャルメディア上の「評判」をきちんと把握することが、最初のステップとなる。この「評判」を常に確認しておくことで、その「基準値」をあらかじめきちんと設定しておこう。この「基準値」を常に把握しておくことで「炎上」の兆候を確認しやすくなってくる。