米マイクロソフトは、スマートフォン向け開発ツール「TouchDevelop Web App」を公開した。スマホやタブレット端末向けのWebアプリケーションをスマホ上で開発できるのが特徴だ。スマホでの開発を前提にしたツールは珍しい。主に中小企業や教育用途での利用を想定している。2012年11月にプレビュー版を無償公開し、機能を順次拡張しながら2013年にも正式版を提供する見込みだ。

 TouchDevelopを使うと、画面に表示されるアイコンなどをタッチ操作で選択していくことで、HTML5のWebアプリを作成できる()。ツールはiPhoneやAndroidなどのブラウザー上で動作し、特定のURLにアクセスすれば、すぐに開発を開始できる。日本語表示にも対応する。

図●マイクロソフトのTouchDevelop Web Appの画面例
スマホやタブレット端末向けのWebアプリを、タッチ操作により開発できる
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 「出荷台数でスマホがPCを上回ったという事実を踏まえると、スマホは今後、多くの人たちにとって唯一所有するコンピュータになっていく。PCで実行できるタスクのうち、スマホで実現できてないのはアプリ開発くらいだ」。同社のTouchDevelop開発チームは、新ツールを開発した背景をこう説明する。

 TouchDevelopではスマホでのタッチ操作を想定し、プログラム部品(機能)の予測入力方式を採用している。スマホの漢字変換機能で、変換候補を自動表示するのと似たイメージだ。

 プログラムコードを表示した画面上で特定の行を選択すると、次に必要と思われるプログラム部品の候補を画面下部に一覧表示する。この候補の中から目的に合った部品をタッチ操作で選択すると、対応するコードがプログラム中に自動挿入される。処理の繰り返しや画面への表示、加速度センサーの情報を取得する部品などを用意している。

 開発には、TouchDevelop専用の独自言語を使う。開発したコードをHTML5やJavaScriptに変換して実行する。作成したアプリは同ツールのサイト上で公開し、他者と共有できる。Windows 8とWindows Phone向けには、ネイティブアプリに変換することも可能である。ツール自体は、マイクロソフトが2012年10月に発表したJavaScript系の新言語「TypeScript」を用いて開発した。