富士通は2012年12月6日、サーバーやストレージなどのハードとソフトを一体化した垂直統合型データベース(DB)製品「FUJITSU Integrated System HA Database Ready SX1」()を発売した。価格は6730万円で、3年間で300台の販売を目指す。富士通は垂直統合型製品を「Dynamic Integrated Systems」として体系化。今回のDB製品を、その第1弾と位置づける。

図●富士通が発表した垂直統合型データベース製品「FUJITSU Integrated System HA Database Ready SX1」(左)とシステム概要
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 最大の特徴は導入の容易さだ。「従来はDBの設計から導入、構築までに2カ月半かかったが、本製品なら設置からDBの利用まで1日しかかからない」(富士通 ミドルウェア事業本部の新田将人本部長)。企業での導入パターンを事前に想定し、富士通側でDBの設定などを済ませたうえで出荷する、垂直統合型製品の利点だ。きょう体をネットワークに接続し、管理者IDとIPアドレスを設定するだけで使い始められるという。

 新製品で狙うのは、米IBMや米オラクルが掘り起こせていない、中堅規模の企業だ。富士通はオラクルのDBアプライアンス「Exadata」も販売しているが、「オラクルは大規模顧客を想定した価格や機器構成を採っており、新製品とは狙う市場が異なる」と新田本部長は力を込める。ビッグデータ活用を検討する企業の裾野が広がり、DB製品では短納期と低価格を重視する顧客が増えたことから、大企業以外にも垂直統合型製品の商機があるとみた。

 ハードは、いずれも富士通製のサーバーとストレージ、ネットワーク機器を組み合わせた。容量1.2テラバイト(TB)のSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)にDBを搭載し、従来のHDD製品でボトルネックとなっていたデータの入出力性能を向上させた。トランザクションの処理性能を最大20倍に高めたという。

 DBは富士通独自の「Symfoware」を採用。OSS(オープンソースソフトウエア)DBの「PostgreSQL」のインタフェースにも対応させた。富士通はPostgreSQLのコミュニティーに参画し、自社製品としても販売してきた。こうしたPostgreSQL関連の資産や顧客ベースを生かしていく。

 第2弾として「2013年には、ビジネスアナリシス(BA)やビジネスインテリジェンス(BI)に焦点を当てた新商品を出す」(富士通IAサーバ事業本部の遠藤和彦本部長)との計画だ。