ビッグデータの事業応用を目指したIT企業同士の連携が相次いでいる。データの「蓄積」「分析」サービスを一体化して提供するのが狙いだ()。

図●ビッグデータ関連の連携例
「データ蓄積」と「データ分析」の連携で利用価値を高める
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 富士通は2012年12月4日、セールスフォース・ドットコムのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)「Force.com」に対応した分析サービスの提供を始めた。Force.comで構築したシステムに蓄積した顧客データを、富士通のPaaS「データ活用基盤サービス」で解析できるサービスで、導入から分析まで富士通がワンストップで対応する。保険会社であれば、契約者の健康データを蓄積し、かかりやすい病気を分析して契約者に示すといったサービスを実現できる。

 NTTデータは米ツイッターと連携し、Twitterデータ分析サービスを2013年2月に始める。プリファードインフラストラクチャーやNTTの分析技術を採用、ツイッターが蓄積した大量の「つぶやき」を分析できる。

 オプト、数理システム、TISの3社は12月5日、Web上での消費者行動を解析するサービス基盤を共同開発すると発表した。Webサイト閲覧データを収集するオプトと、分析技術に強みを持つ数理システム、TISが連携。自社サイトに流入する消費者のWeb上での行動を分析、予測できるようにする狙いだ。

 ブレインパッドとウイングアークは11月21日、セールスフォースと連携したマーケティング分析システムを共同開発すると発表した。3社でシステムの実証実験を展開する。クラウド上に蓄積した顧客データを、販促キャンペーンの効果測定・分析に生かす。

 今回の協業はデータ蓄積・分析作業そのものの支援が狙いだ。データ分析のためのプラットフォームをクラウドで提供する「DWHクラウド」への参入も相次いでいる(関連記事)。

 ビッグデータを事業に生かしたいユーザー企業は、蓄積データの特性に合わせて最適化した分析サービスを利用できる。従来はデータ連携の仕組みを構築し、分析システムをデータ特性に合わせチューニングする必要があった。

 データ分析を担うIT企業にとっては、ユーザー企業を取り込めるというメリットがある。富士通は今後5年間で、データ活用基盤サービスによる売上高の30%を、Force.comと連携したシステムの構築・提供により売り上げる考えだ。