衆議院議員総選挙の投票日が2012年12月16日に迫った。既に期日前投票を終えた人もいれば、投票先に頭を悩ませている人も多いだろう。
以下では、2009年の総選挙で成立した「現政権」(ここでは民主党を中心とした鳩山由紀夫内閣、菅直人内閣、野田佳彦内閣を指す、以下同様)による主なICT施策について振り返りたい。現政権で進捗が見られた施策もあれば、現状維持ないしは後退した施策もある。
現政権の施策の中には、それ以前の政権から引き継がれたものや、法改正時に野党を含む賛成多数を得て可決されたものもある。全ての出来事が現与党の評価に結び付くとは限らないが、投票先決定のための1つの判断材料にしていただければ幸いだ。
ICT施策全般
- ICT視点で見た衆院選の争点と民主党政権の3年間(表=各党のマニフェストの比較表)
情報システム調達改革・政府CIO
政府・自治体自身が利用する情報システムについては、現政権の前半ではいわゆる「事業仕分け」の対象になったこともあるが、具体的な改革の動きは鈍かった。前政権時代に始まった“失敗プロジェクト”の後始末に追われた面もある。
2012年に入ってようやく「政府CIO」が任命され、新しい仕組みによるシステム調達が動き始めた。
- 大切なのは、小さな成功体験の積み重ね(内閣官房政府CIO・遠藤紘一氏インタビュー)
- 55億円無駄に、特許庁の失敗
- 業務改革に精通した実務家、政府CIO遠藤氏の素顔
- 政府システムの調達はなぜ失敗したのか
- 「そんなこともできていなかったの?」、概算要求に見る行政システム事情
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- 電子政府“事業仕分け”の愚
ネットサービス関連政策
この3年間でインターネット経済圏は格段に拡大した。一方で様々な問題も出てきた。政権交代直前の2009年9月1日付で発足した消費者庁は、ネットサービスの規制で大きな役割を果たしてきたと言えそうだ。
内閣府の外局である公正取引委員会の動きも目立った。日本のインターネット検索市場の2強であるヤフー(Yahoo! JAPAN)と米グーグルの提携を容認した判断は賛否両論を呼んだ。
- LTEの広告表示で消費者庁がイー・アクセスに措置命令、総務省も行政指導
- JASRACへの排除措置命令は取り消し、公取委が審決の内容を発表
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- 消費者庁、“ウソ”クチコミに警告
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- 「Yahoo!JapanとGoogleの提携を許可した公取委の判断は間違い」
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