今回は「LINE」「comm」「Skype」「Viber」「KAKAO TALK](カカオトーク)の各無料通話の遅延時間を測定します。測定に使用する機器は筆者が所属するGLEAN Corporationの「VoicePinger」を使用します(関連記事)。測定対象や測定環境、測定の仕組みについては第1回を参照して下さい。今回は、1度の測定で10回(おおよそ1秒間隔で1回)測定を1セットとし、これを各サービスごと、回線種別ごとに10セット実施しました。

 各サービスは、いずれも音質を高めるために端末種別に応じた調整をしています。今回の測定では、利用者数が多いと思われるiPhoneを測定端末として使用します。

遅延時間測定――Wi-Fi接続時

 Wi-Fi接続時の遅延測定結果は表1の通りとなりました。

表1●遅延時間測定結果(Wi-Fi)。測定結果の単位はミリ秒、発信側端末はiPhone 5(KDDI)、着信側端末はiPhone 5(ソフトバンクモバイル)。回線は発着信ともにWi-Fi(IEEE802.11n)
表1●遅延時間測定結果(Wi-Fi)。測定結果の単位はミリ秒、発信側端末はiPhone 5(KDDI)、着信側端末はiPhone 5(ソフトバンクモバイル)。回線は発着信ともにWi-Fi(IEEE802.11n)
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 遅延測定結果の中央値をグラフ化したものが図1となります。

図1●Wi-Fi接続時の遅延時間(中央値)
図1●Wi-Fi接続時の遅延時間(中央値)
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 今回の測定ではSkypeが一番遅延時間が短いという結果になりました。Skypeは遅延時間の中央値が123.8ミリ秒となっており、品質クラス分類上クラスB相当の遅延時間となります。なお、Viber、カカオトーク、commについては中央値が300ミリ秒前半となっており、品質クラス分類ではクラスC相当の遅延時間に該当します。あらためて「第1回 音声遅延とは何か、どうやって測定するのか」で紹介したIP電話の品質クラスを掲載します(表2)。

表2●IP電話の品質クラス
表2●IP電話の品質クラス
※ 「固定電話並」、「携帯電話並」とは、それぞれ電話品質に注目した場合を表し、その他の機能について既存の固定電話や携帯電話の性能を求めるものではない。