クラウドの先行ユーザーはサービスにかなり満足している──。今回の顧客満足度調査では、クラウド関連サービスの満足度を初めて尋ねた。その結果から、クラウド関連サービスの平均満足度は、従来型システム構築のそれよりも高いことが分かった。

 プライベートクラウド構築支援関連サービスを見ると、今回の調査における総合満足度の平均値は68.1だった(図1)。この数字は、ITコンサルティング/上流設計、システム開発、システム運用といった3種類の従来型システム構築関連サービスの総合満足度よりも高い。

図1●サービス各分野の平均満足度
クラウド関連サービスの平均満足度は、従来型のシステム構築サービスのそれより高い
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 例えば、システム開発関連サービスの平均総合満足度は今回60.1で、プライベートクラウドを8ポイント下回っている。企業別に見ても、システム開発関連サービスの総合満足度がプライベートクラウドの平均値である68.1を上回ったのは、情報サービス会社で満足度トップだった富士通エフサス(75.4)のみ。コンピュータメーカーは1社もなかった。

 もちろん、IT分野における満足度の水準は製品/サービスの種類によって異なる。ハードウエアやネットワーク分野の平均満足度は、サービス分野のそれよりかなり高いのが普通である。

 プライベートクラウドに関して言えば、「提案力」「設計力」「信頼性の確保」といった評価項目は従来型システム構築サービスと近い。類似した評価の枠組みで、プライベートクラウドに対する平均満足度が高いというのは、少なくとも先行ユーザーにとって、クラウドは従来型システム構築より満足できるサービス内容であるとみなせることになる。

 クラウドの満足度が高いのは、パブリック型も同じだ。パブリッククラウドサービスに対する平均総合満足度は、プライベート型とほぼ同じ67.7だった。

 パブリッククラウドの満足度を見ると、参考値扱いではあるが、NTTコミュニケーションズ(71.2)や富士通(70.8)の満足度がランキング1位のグーグル(66.4)を上回った。

 パブリッククラウドで先行した海外ベンダーよりも国産ベンダーに対する評価のほうが高かったのは、クラウドサービスそのものの魅力のためだけとは言い切れない。クラウド市場で早期に実績を作ってリードしたいベンダー各社が、エース級の人材を投入して開発や顧客支援の体制を手厚くしていることも関係しているようだ。クラウド市場では、まだまだ熱い戦いが続く可能性が高い。