第1回から続く)

 大きなトラブルもなく、米Apple社の「iPad mini」の分解に成功した日経エレクトロニクス分解班。ここからは、主要部品の観察を進めていく。

図1●「iPad mini」(右)と「iPad」(第3世代品、左)のカバー・ガラスの背面
図1●「iPad mini」(右)と「iPad」(第3世代品、左)のカバー・ガラスの背面
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 iPad miniの特徴の一つが、前面のカバー・ガラスに接着剤で貼り付けられた静電容量式タッチ・パネルだ。今回のiPad miniでは、基板が従来のガラスからフィルム(樹脂)に変更されている。

図2●iPad miniはフィルム基板を用いたタッチ・パネルを搭載
図2●iPad miniはフィルム基板を用いたタッチ・パネルを搭載
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図3●iPad(第3世代品)はガラス基板を用いたタッチ・パネルを搭載していた
図3●iPad(第3世代品)はガラス基板を用いたタッチ・パネルを搭載していた
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 タッチ・パネルの基板を、ガラスからフィルムに変更する利点の一つは、薄型化を図れることだ。iPad miniにおける、カバー・ガラスとタッチ・パネル合計の厚さは約0.8mm。ガラス基板を用いていた「iPad」(第3世代品)の約1.3mmに比べて、約0.5mm薄くなった。ひと足早く発売されたスマートフォン「iPhone 5」に導入された、タッチ・パネルの機能を液晶パネルに内蔵する「インセル」技術ほどではないが、薄型化に貢献したといえそうだ(日経エレクトロニクスの関連記事)。

図4●iPad miniのカバー・ガラスとタッチ・パネルの厚さは約0.8mm
図4●iPad miniのカバー・ガラスとタッチ・パネルの厚さは約0.8mm
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図5●iPad(第3世代品)のカバー・ガラスとタッチ・パネルの厚さは約1.3mm
図5●iPad(第3世代品)のカバー・ガラスとタッチ・パネルの厚さは約1.3mm
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 iPad miniのタッチ・パネルでは、2個のタッチ・コントローラICの実装位置も変更されている。実装されているのは、タッチ・パネルとメイン基板を接続するフレキシブル基板(FPC)上にある別基板。これまでのiPadシリーズ3機種では、タッチ・コントローラICはメイン基板上に実装されていた。タッチ検出時の感度を高めるため、もしくは薄型化に伴い実装位置が変更された可能性がありそうだ。なお、2個のタッチ・コントローラICは共に、米Broadcom社製だった。

図6●iPad miniではFPC上の別基板にタッチ・コントローラICを実装。Broadcom社製である
図6●iPad miniではFPC上の別基板にタッチ・コントローラICを実装。Broadcom社製である
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 分解班は、さらに別の主要部品の観察を続けていく。