オープンソースソフトウエア(OSS)のクラウド基盤構築ソフト「OpenStack」の新版「Folsom」が2012年9月27日にリリースされた。新たに2つのコアプロジェクトが加わって機能が拡充されたほか、Dashboardの日本語環境が改善されて使い勝手が高まった。

 OpenStackの新版であるFolsomでは、2つのコンポーネントが新たに加わった*1。ネットワークを管理する「Quantum」と、ブロックストレージを管理する「Cinder」だ。

*1 OpenStackは、複数のコンポーネントで構成するソフトウエア群である。主なコンポーネントは仮想マシンを管理する「OpenStack Compute(Nova)」、ストレージを管理する「Object Storage(Swift)」、ユーザーインタフェースを管理する「Dashbord(Horison)」などがある。OpenStackでは、これらコンポーネントごとに開発プロジェクトが独立していて、メインの機能として構成するコンポーネントのプロジェクトを「コアプロジェクト」と呼んでいる。これとは別にコミュニティーレベルでOpenStack向けコンポーネントを開発するプロジェクトがある。それらは「インキュベーションプロジェクト」を経てコアプロジェクトに昇格することが多い。

 Quantumと同様の機能は、これまでも仮想マシンを管理するコンポーネント「Nova」に実装されていた。Quantumは、Novaが実装していたネットワーク管理機能を拡張し、改善したものである。
 例えば、アプリケーションやデータベースなど用途ごとにネットワークのセグメントを分割したり、2拠点間をレイヤー2レベルで通信できるようにしたりできる。また、プラグインによる機能追加に対応し、拡張性が高くなっている。

 2つ目のコンポーネントであるCinderは、仮想マシンにブロック単位の仮想ボリュームを割り当てるもの。Quantumと同じく、同様の機能はNovaでも実装されていた。CinderはNovaの同機能を切り離したもので、次期バージョンではNovaによるブロックストレージ管理機能が省かれる予定だ。

 Cinderはコアプロジェクトになったことで、これまでよりも信頼性や機能面での向上が期待されている。例えば、これまではストレージ装置のベンダーが提供しているドライバを追加しようとすると、個別の設定が必要だった。Cinderでは、ベンダーの違いを意識せずにブロックストレージを設定できる。