前回の記事で「炎上」の発生パターンを3つに類型化した形で考えてみた。そこで書いたように、ソーシャルメディア上における窓口の有無にかかわらず、今やどんな企業でもソーシャルメディア上での「炎上」のリスクは潜んでいる。

 では、仮に「炎上」が(少なくとも可能性がゼロにならないという意味で)避けられないとして、企業は具体的にどう対応していけばよいのだろうか。そのためには、まず「炎上」のメカニズムを細かく分解して考えてみる必要がある。

炎上が拡大する流れはパターン化できる

 既に読者のみなさんもある程度感じていると思うが、ソーシャルメディアにおける「炎上」と呼ばれる事象に関して、発生から拡大にいたるまでの流れは、ほとんどの場合で共通している。「炎上」そのもののきっかけは様々だが、火種が生まれ、そこから本格的な「炎上」へと拡大化していく流れは、ほぼ同じような流れをたどっていると考えていいだろう。この、ある意味共通化している流れを、まずはきちんと理解しておくことが、「炎上」に対するマネジメントを考える上で非常に重要となってくる。適切なアプローチを行うためには、まず背景や構造をきちんと理解、把握することが重要なのだ。

 さて、多くの場合「炎上」が生まれ、そして拡大化する流れは7つのステージに分けられると考えられる。まずは、これらのステージを順番に追ってみよう。

  • [ステージ1]オンライン・オフライン問わず「炎上」のきっかけとなる事象が発生する
  • [ステージ2]ブログ/Twitter/Facebook/2ちゃんねるなどに投稿され始める
  • [ステージ3]ステージ2でインターネット上に残された投稿をきっかけに、一部のユーザーが事象に関する会話をし始める
  • [ステージ4]会話に「インフルエンサー」が加わり拡散し始める (もっと早い段階で「インフルエンサー」が加わることも多い)
  • [ステージ5]ステージ1で発生した「炎上」のきっかけとなる事象の背景や経緯、ならびにステージ2~4で生まれたインターネット上の会話が「まとめサイト」などにまとめられる
  • [ステージ6]「まとめサイト」などを読んだユーザーが事象の経緯を一通り把握し会話に加わる
  • [ステージ7]会話が拡大すると同時に、新たな「まとめサイト」などが続々誕生する

 「炎上」の火種となる事象が、本格的な問題へと拡大化するまでの間には、このような流れをたどることが多い。もちろん、ステージが進んでしまえばしまうほど、だんだんと手の付けようがなくなってくる。だが、比較的初期の段階で適切に対応すれば、ネガティブな影響を、最小限に食い止めることも可能だ。

 その「生命線」ともいえるラインが、ステージ4とステージ5の間に引かれているとイメージしておこう。言い換えれば「最低でもステージ5、できればステージ4に至る前に、迅速に対応すること」が重要であり、これこそが「炎上に対するマネジメント」のキモとなる。