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成功するIT組織はどこが違うのか

親会社の期待に応えるIT子会社の取り組み

井出 昌浩、根岸 協子=クニエ、斎藤 勝也=NTTデータ経営研究所 2012/12/20 ITpro

 グローバル化や消費の低迷などから、企業を取り巻く環境は日々変化している。そのため、IT子会社に求められる期待も多様化しており、期待に応えるために荒波に揉まれながら舵を取るIT子会社も多い。目まぐるしく変わる環境を見据え、親会社の期待に応えるために、IT子会社はどのような取り組みをしていけばよいのだろうか。

 今回はIT子会社のタイプ別に有効となり得る施策に着目する。具体的なIT子会社の取り組み事例を紹介した上で、調査結果を解説していきたい。なお、本調査はIT子会社(約400社)にIT組織に対するアンケートを実施し、約19%の37社から回答を得た。

A社事例:コストセンターは課題解決につながる新テクノロジーの検討を

 IT子会社のA社は、流通業を営む会社の情報システム部門から、開発、保守、運用を担当する組織が独立する形で設立された。一般消費者を対象としたシステム開発が多いことから、A社は発足時から低コストで安定したITサービスの提供を第一方針として運営してきた。

 しかし近年は、競争の激化と日本国内のデフレ経済における価格の下落から、親会社は競争力を取り戻すためにグループ全体でコスト削減を進める経営方針を打ち出した。A社も、さらなるITコストの低減を親会社から要請された。

 A社は、以前から「自社内の開発・テストの改善」「取引先ベンダー、構築/調達コストの見直し」「契約・運用管理体系の見直し」のように、コスト削減につながる施策に取り組んでいた。同様の手法でのコスト削減は限界に来ていて、これ以上の取り組みはサービス品質の低下を招く恐れもあった。

 そのため、抜本的にシステム構成を見直すべく、今まで手を付けていなかったシステムの在り方そのものを見直すことにした。A社は会社別、システム別に構築・運用してきたシステム基盤を、以前から検証してきた新テクノロジー(仮想化技術など)による新しいシステム基盤へ移行させ、グループのシステム基盤の集約を図った。A社は、短期的には移行のために投資が必要だったが、長期的にはグループ全体に適用することでITコストのさらなる低減に成功している。

 A社事例の成功要因は何だったのか。まず、数年前からA社の事業計画の柱の一つとして、新テクノロジーの積極的な活用を標榜し、親会社のビジネス課題を解決するための施策を進めていたことが挙げられる。具体的には、新テクノロジーの調査分析担当者を任命し、業務時間の3割を投入した。さらに、他の担当者に新テクノロジーの調査分析を奨励した。開発や運用の担当者からも、ビジネス上の課題やシステム課題をヒアリングして、どこに改善の余地があるのかを議論していた。

 このように、具体的な日々の行動まで施策に落とし込んだことが成果の発揮につながった。今では、コスト削減への寄与だけにとどまらず、iPadを活用した業務システムを構築して店舗での接客サービスを向上させるなど、業務変革の施策としても展開されている。

B社事例:コストセンターもサービス目標を具体化して親会社と共有を

 次は、製造業を営む会社の情報システム部門から独立したIT子会社B社について解説する。24時間稼働する工場で利用されるシステムが多く、B社は発足時から安定して質の高いITサービスの提供を強く期待されてきた。ただし親会社は、競争のグローバル化が進んでいることもあり、単なるコスト削減だけでなく、品質とのバランスが取れたITサービスの提供をB社に期待するようになった。B社は、今まで以上に安定したサービスを維持しつつ、前年比ベースでのコストダウンを求められるようになった。

 そこでB社は、ITサービスの中で親会社が必要とする以上の品質を提供している部分を、コスト削減の観点から徹底的に見直すことを決意。これまである意味「緩やかな合意」の上で運用されていたサービスレベルを、一から見直すべきと考えた。さらに、本当に必要とするサービス品質について、具体的な目標と妥当なコストを見極めるため、親会社とB社で共同の研究会を発足させた。この研究会で「サービスレベルの合意」と「契約」の施策に取り組むことにした。

 その結果、親会社が期待する以上のサービスをB社が提供していたことを確認しつつ、目標値を下げ、コストダウンすることに向けた議論を行った。また親会社が期待していながらB社が提供できていなかったサービスも明確になり、契約の見直しも進められた。

 B社の施策の成功要因は、親会社と共同で検討する場を新設し、親会社のメンバーと一緒に検討を実施したことにある。改善施策をIT子会社から提案して、親会社と共同実施することに壁のある企業もあるが、親会社が享受する効果を説明し、前向きなスタンスで検討に参画できるように準備していくとよい。親会社とIT子会社の間でサービス目標に対する認識のズレが解消していけば、目標達成に向けて強力なバックアップを得られる。親会社からの一方的なコストダウン要請に対処するという“ありがちな関係”から脱皮し、サービス目標の達成に向け一体となって取り組む関係の構築こそが、成功するIT組織と言える。

 経験上、コストセンターにおいては、親会社へのITサービスの提供が「曖昧な約束」のもとで提供されていることが多い。「サービスレベルの合意」をうまく活用できれば、IT子会社から親会社への貢献度合いやコストの妥当性を説明できるようになり、事実を基に親会社とコミュニケーションできるツールとなる。

コストセンターのミッション達成に向けた施策

 ここまでA社とB社の事例からミッション達成に向けた施策を紹介してきたが、次は調査結果を見ていこう。今回の調査では、ミッション達成に向けて有効な施策を分析すべく、IT子会社のタイプ別にミッション達成に向けて実施した施策と効果を発揮した施策を確認し、統計上有意な差で分類している。

 まずコストセンターのミッション達成に向けた施策の状況を図1に示す。「IT資産管理」や「運用管理体系の確立」など、主に運用面の施策が優等生に位置付けられているが、A社事例でポイントとなった「新テクノロジー管理」は効果を発揮できていない傾向がうかがえる。A社の事例を踏まえると、新テクノロジーの調査分析を実施したとしても、そこで得られた知識を親会社が期待するビジネス課題やシステム課題の解決につなげられていない。

図1●コストセンターに有効な施策
コストセンターでは、将来的に「サービスレベルの合意」「契約」は有望な施策である
[画像のクリックで拡大表示]

 そこで「システム化計画策定」などの施策と連携して取り組み、効果を創出して頂きたい。いまやコストセンターも、親会社の事業変化や加速する経営スピードに耐え得るサービスを提供することが期待されている。親会社から具体的な指示を受けてから行動するのではなく、親会社の環境変化の先を見据えて、どのような施策が必要となるのかを見極め、実施していくことが有効である。

 また、「サービスレベルの合意」と「契約」は、実施率は低いものの効果は高い傾向にある“高嶺の花”に位置付けられていた。今後、ますます期待が高まるコスト削減とシステムの安定稼働のバランスに対応するためにも、「開発・テスト」や「運用管理体系の確立」といった従来型の改善だけでなく、B社のように親会社を巻き込んだ「サービスレベルの合意」と「契約」の施策についても検討を推奨したい。

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