「LibreOffice Conference 2012 Berlin」が2012年10月17日から10月19日にかけ、ドイツのベルリンで開催されました。昨年パリで開催された第1回(関連記事)に続いて、第2回目となります。様々な発表に加えて、開発やQA(品質保証)、翻訳、マーケティング、コミュニティ運営についてのディスカッションが活発に行われ、LibreOffice日本語チームも活動を発表しました。

会場は石造りの経済技術省カンファレンスセンター

 LibreOfficeが2010年9月に発足してから2周年を迎え、今年2月にはプロジェクトの運営を支えるThe Document Foundationが財団法人としてベルリンに設立される(以前は任意団体)などプロジェクトの基盤整備が進んでいます。LibreOffice自体もカンファレンス中にバージョン3.5.7がリリースされるなど順調にバージョンアップを重ね、ソフトウエアとして着実に進化を遂げる中で開催されました。

 第2回LibreOfficeカンファレンスの会場は、ベルリン中央駅近くと便利な場所にある、ドイツ連邦経済技術省のカンファレンスセンターで、3日間通して行われました。

写真●とてもカンファレンスセンターとは思えない重厚な建物はヨーロッパならでは?
[画像のクリックで拡大表示]

 由緒のある建物だそうで、石造りの立派な建物でした。身分証の確認や航空機搭乗時並の手荷物検査を行うなど警備は厳しいところでしたが、会場やホール、クロークまで用意されており、ネットワーク環境などもすばらしい施設でした。

 カンファレンスへの参加者は約150人で、地元ドイツをはじめとして世界中の5つの大陸から参加していました。日本人の参加者は4名で、全員がLibreOffice日本語チームのメンバーでした。

貢献者数は毎月250人

 カンファレンスでは多くの発表がありましたが、印象に残ったものをいくつか紹介します。

 The Document FoundationのThe Board of Directorsメンバーで、マーケティングを担当する Italo Vignoli氏とChairmanであるFlorian Effenberger氏によるLibreOfficeプロジェクトの状況についての発表がありました。

 それによると、ユーザー数については、Linux の場合多くのディストリビューションがすでに LibreOfficeを採用しているので推定ユーザーが3000万人程度、WindowsとMacについてはThe Document Foundationサイトからのダウンロードが2000万ほどで、他にCDでの配布やエンタープライズ分野での組織インフラによる一斉配信なども考慮すると、大体6000万程度と推測されています。またダウンロード数は山谷はあるものの40週間で3割ほど増加しています。

 またコードとWikiページの貢献者数は毎月250人ほどで推移していますが、特徴としてはコードのコミッターにおけるボランティアの割合が非常に多いことです。すでに使われなくなったコードの掃除や古いドイツ語のコメントの英語への翻訳といった地道な作業、さらにはユニットテストの整備なども順調に進んでおり、LibreOfficeをよりメンテしやすく、軽量で、堅牢なソフトウエアにするべく活発に動いていると言えるでしょう。

写真●Vignoli氏とEffenberger氏によるプレゼン
この部屋はメイン会場で天井も高くて広々しています
[画像のクリックで拡大表示]