PMOの永遠的な命題として、「PMOの存在価値を数値化できるのか」という命題がある。よくお客様から問われる質問でもある。今回は、PMOの存在価値としての数値化の取組みについて考えてみたいと思います。
後藤 年成
マネジメントソリューションズ 取締役 PMP
このコラムを通して一貫して述べているPMOの仕事の一つは、「プロジェクト関係者が気持ちよく働ける環境を作ること」です。さて、ここで「気持ちよく働ける環境」とは、一体どんな環境でしょうか。それは、自分が本来やるべき(自分しかできない)作業に専念できることです。
ただし、プロジェクトにおいては、それぞの役割を決めてチーム分けを行います。当然、各チームは割り当てられた役割を全うするために全力で作業を行うのですが、役割を決めて分業をしている以上、それらをまとめて統括していく必要があります。また、プロジェクトのステークホルダーであるマネジメント層やユーザー側の責任者、または品質管理部門などとも協力しながらプロジェクトを進める必要があります。
その取りまとめ役がプロジェクトマネジャー(PM)やプロジェクトリーダー(PL)なのですが、その仕事についてよく不平不満が生じています。なぜなら、PM/PLにとって、「取りまとめ」は本来自分にしかできない仕事ではないし、取りまとめるための情報収集や報告資料の作成などに多くの時間を奪われているからです。とてもPM/PLが「気持ちよく働ける環境」とは言えません。
プロジェクトマネジャーの作業の可視化
ではPM/PLは、本来やるべき作業にどのくらいの時間を使えているのでしょうか。そして、それらはPMOが肩代わりできるものでしょうか。
図1を見てください。この図は、PM/PLが「本来自分がやるべき作業(自分しかできない作業)」にどれだけ集中できているかを可視化するチェックシートです。皆さんもこの表を使って、1カ月にどんな作業をどのくらいの割合でしているか、可視化してみてください。