ウィキリークスやアノニマスなど政治的主張を含む“ハッキング”が世間を騒がせている。こうした一連の動きを「ハック」と「アクティビズム」(行動主義)の造語である「ハクティビズム」と呼ぶ。本書はハクティビズムの社会的側面について、ハッカーの歴史からひもといていく。

 ハッカーは東海岸のMITで生まれ、ベトナム戦争や冷戦の影響で西海岸へ主軸が移っていく。その過程でヒッピー文化などが取り込まれてきたとされる。ただし、ハッカーは当初から政治性を持っていたと著者は見る。各地域の影響を受けてはいるものの、合理的で創造的で反権威的なハッカー倫理は変わることなく存在していた。ハクティビズムは突如出てきたものではなく、これまでにも暗号化に関連した攻防など様々な歴史があったのだ。一方、アノニマスは従来の歴史からはやや外れたものと見る。2ちゃんねるのような匿名文化が源流にあるためだ。

>ハクティビズムとは何か

ハクティビズムとは何か
塚越健司著
ソフトバンククリエイティブ発行
767円(税込)