前回紹介した特許庁システムの開発失敗は、政府システム調達に横たわる構造的な問題を示している(図1)。IT人材が質と人数の両面で足りないという点と、入札準備から稼働に至るまでの調達プロセスが未成熟という点だ。
2004年に各省庁が策定を始めた、業務やシステムの無駄をなくすための行動計画「業務・システム最適化計画」では、業務プロセス改革や分割発注といった理想を描いていた。ところが、それらの実行に必要なスキルやリソース、プロセスを用意しなかった。
失敗は特許庁システムだけではない。次期年金システム(社会保険オンラインシステム)、府省共通の人事・給与システムなど、大規模システムや省庁共通システムでプロジェクトの中止や停止、延期が相次ぐ(図2、表)。その原因を突き詰めると、いずれもIT人材と調達プロセスという二つの問題に行き着く。