特許庁システム、年金システム、ゆうちょ銀行の融資システム──。数十億~数百億円を投じたにもかかわらず完成しない政府システム、使われないシステムが相次いでいる。

 省庁の業務プロセスとITの改革を目指した「業務・システム最適化計画」の策定開始から8年。国を支える基幹系システムの開発中止や停滞が絶えない背景には、IT人材不足や調達プロセスの未成熟さなど、当初掲げていた理想とはかけ離れた現実があった。

 政府システム調達の失敗は税金の無駄遣いにとどまらず、国の競争力低下に直結する。今後も、マイナンバー法に基づく共通番号システムなど、重要案件が控える。日本の将来のために、過去の事例から失敗の本質を探ると共に、調達改革の道筋を示す。

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