2012年10月26日のWindows 8発売に合わせて公開されたのが、Skypeアプリ「Skype for Windows 8」だ。Skype for Windows 8は、Windows 8の新しいユーザーインタフェース「Modern UI」に対応するWindowsストアアプリである。
従来のWindowsデスクトップ用Skypeアプリは、Windows 8のデスクトップモードでそのまま動作する。にも関わらず、あえてModern UIアプリをリリースした意図や背景について、SkypeでWindows 8、Windows、Macなどデスクトップ用Skypeの開発を統括するプログラムマネジメントディレクターのピエロ・シエーラ氏(写真1)に話を聞いた。
「Skype for Windows 8」の開発は1年がかりのプロジェクト
Skypeに入社する以前、シエーラ氏はMicrosoftに15年間勤務しており、様々なバージョンのWindowsの開発を担当した経歴を持つ。直近では、Windows 8標準の「メール」や「カレンダー」、「Messaging」アプリの開発も担当したという。そしてWindows 8用Skypeアプリの開発を手がけるため、1年前にSkypeに移ったとのことだ。
1年前といえば、MicrosoftによるSkypeの買収が完了した時期と重なる。「Windows 8のために、すべてをやり直す必要があった」(シエーラ氏)と語り、Windows 8対応がSkypeにとって大きな挑戦だったことをほのめかした(写真2)。
Connected Standbyに対応、2週間以上の待ち受けが可能
シエーラ氏は、Skype for Windows 8の設計にあたって3つの重要な目標を定めたという。まずは「常時接続」だ。これはWindows 8の新機能「Connected Standby」を利用し、低消費電力でSkype着信を待ち受け可能にする機能だ(写真3)。
「コンピュータを電話のように使えるようにしたかった。コンピュータの電源がオフの状態でも、着信があれば電話を受けられるようにする」(シエーラ氏)と構想を語った。
従来のPCでも、シャットダウンやスタンバイの状態から特殊なパケットを検出して、PCを起動することはできる。だが、これではシエーラ氏が想定していた「電話のような」動作には遠く及ばない。「Connected Standbyへの対応にはこれまでにないコードが必要で、スクラッチから書き始める必要があった」(シエーラ氏)と苦労を語った。
Skype for Windows 8アプリがバックグラウンドで動作しているときは、CPU使用率が0パーセントにまで低下する。また、Windows RTを搭載したMicrosoft Surfaceや最新のAtomプラットフォーム(Clover Trail)搭載タブレットなど、対応ハードウエアでの動作時にはConnected Standbyを利用できる。「結果的にSurface上では、Skypeへの接続を維持した状態で2週間以上のバッテリライフを実現できた」(シエーラ氏)とのことだ。